ノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー氏は以前、「自己実現的期待」によって景気後退が発生すると指摘し、筆者はこれを受けてトランプ大統領を落選させるには株式相場を暴落させれば良いと述べた。また、マーケットがトランプ大統領再選で動いていることも指摘した。
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シラー氏は16日、自己実現的期待によって景気後退が起こるとすれば、「逆にトランプ大統領が再選すれば強気相場が長期化して景気後退が遅れる可能性」を指摘した。
この背景は、トランプ大統領の政策が大幅な株価上昇をもたらしてきただけでなく、ここまでは景気動向も好調で推移してきたことで、支持率が高い状態が続いているからだ。
シラー氏は「昨年末の大幅調整」と「今年に入っての大幅反発」をどのように受け取るか、もっと言えば、更に大きなショックの前兆ではないかと受け取るか否かが今後の大きな転換点だと指摘する。それ故に同氏は依然として景気動向を注視する必要があるとする。
筆者としては前回指摘した通り、社会民主主義者が大統領になればマーケットへの影響は甚大であるという危惧から、トランプ大統領の再選に向けて株高が続くという見方であり、この観点ではシラー氏も同じことを言っている。
違うのはトランプ大統領が再選した場合のシナリオである。シラー氏は再選によって株高が続くという見方であるが、再選後についてはかなり悲観的である。何度か指摘している通り中国の信用リスクや米国のCLO問題など、無理な状態が続いていることには変わりなく何らかのきっかけがあればマーケットに甚大な影響を与えかねないからである。