要約
- ノーベル賞受賞者ロバート・シラー氏が自己実現的期待による景気後退について主張
- 法的な問題による失脚と財政問題が強気相場破壊のリスク
- 社会民主主義的運動を盛り上げるのがもっと手っ取り早い
景気後退についての自己実現的な予言が強気相場を破壊するかもしれない:ノーベル賞受賞者ロバート・シラー(CNBC)
- 景気後退の懸念が高まっているので、自己実現的に早く起こる可能性がある
- 18ヶ月以内にリセッション入りする可能性は50%
- トランプ大統領は優秀なストーリーテラーであるが故に好景気を生んでいる
- 法的な問題で大統領の地位を失うのも暴落のリスク
- 前年比77%増の財政赤字(9,130億ドル)も大きな懸念
解説
2013年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー氏がCNBCのインタビューに答えた。シラー氏は「投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然」でITバブルの崩壊を警告した人としても有名だ。
バブルの発生原因についてよく使われるのが「自己実現的期待」であり、日本のバブル景気の時のように「不動産価格が値上がり続ける」と思えば土地は上がり続けるし、「ジブリの法則」を皆が信じれば暴落が起こるかもしれないし、3月9日を特別な日だと思えば相場が荒れるかもしれない。
要するに、皆が景気後退を強く認識することで予想よりも早くリセッション入りするのではないかというのがシラー氏の主張である。逆の意味でトランプ大統領は相場を上昇させるのが上手い。
逆に言えばトランプ大統領の再選を阻止したい人がいるなら、法的な面で追及するよりも相場を下落させるように頑張れば良い。もちろん売りを仕掛けても良いのだが、そう簡単にはいかない。
手っ取り早いのは民主党支持者の間で盛り上がりつつあるAOC現象を一大ムーブメントにすることだ。AOCとはアレクサンドリア・オカシオ・コルテス 下院議員の名前だが、彼女以外にもどうしても大統領を諦められないバーニー・サンダース氏など、社会民主主義的な候補者が多い。
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これらの面々は、富裕税や自社株買い禁止など、市場関係者は嫌がりそうな政策を多く掲げている。出馬するかは不明だが、現時点で最も期待されているのはオバマ政権の副大統領ジョー・バイデン氏と穏健な人であり、今のところ(アメリカ的な価値観において)極左で全国的な支持を集められている候補はいない。
トランプ大統領を落としたい人がいれば、主張の些細な違いにこだわらず、早く特定の候補者に絞って社会民主主義的な運動を盛り上げると良い。そうすれば勝手にマーケットは悲観的になって、トランプ大統領がアピールできることが皆無になるだろう。