2ヶ月前、コーヒー価格に底打ちの兆しが見られ、米中貿易交渉で合意がなされればコーヒー価格が上昇に転ずるという見方を示したが、米中貿易交渉はそのまま継続しており、国際コーヒー機関の最新レポートでは再び価格が下落した。
関連記事:コーヒー価格に底打ちの兆し
ロブスタ種は名前の由来がロバスト(robust:強健な、頑丈な)と言われるだけあって、一般的なアラビカ種に比べて病気に強く、そもそも価格帯が低い。ベトナムは世界第二位のコーヒー輸出国でありながら、インスタントコーヒーなどローエンド向けとしてロブスタ種を生産するのが殆どであった。
そんな中、いわゆるスペシャルティコーヒーと分類される高級コーヒーを目指してロブスタ種を作ろうとする動きがベトナムで出てきている。
その動きの一つが2015年に設立されたNgoc Mai Quang Trung Co. Ltdによるコーヒー生産で、
- 有機栽培
- 熟した鞘の選択的収穫
- 迅速な加工
- 種子の電子的な選別
- 最先端の保管施設
といった徹底した生産工程による高品質化を目指している。
米国スペシャルティコーヒー協会で100点満点中80点以上を獲得したコーヒーがスペシャルティコーヒーと評価され、世界のコーヒー流通量の約2%に過ぎないが、付加価値は5~10倍あるという。
前述の製造業者のTrinh氏は、「ハイエンド向けのロブスタコーヒーはローエンド向けのアラビカコーヒーより高品質」としており、比較対象がローエンド向けとなっているほどで、まだまだだという。
バンメトート・コーヒー・フェスティバルの主催者Nguyen Hai Ninh氏は、ベトナムは既にコーヒー輸出大国であるが、農家の収入増加のためにもスペシャルティコーヒーを目指した高品質化が必要だという。今では高付加価値コーヒーを生産する農家は50にまで増えている。
同フェスティバルでは持続可能な開発の観点でも高付加価値化は重要と指摘されており、ダクラク省は高品質コーヒーの開発インセンティブを高める政策を2018年から開始している。
ロブスタ種の香ばしさは(筆者は好きだが)一般的には独特で合わないという人も多い。病気に強いというのは大きな強みであり、売り方も含めて新しい高級コーヒーとして展開できれば大きな可能性があると考えられる。
参考文献
Viet Nam News, “A Robusta take on coffee”, 7 Apr 2019