Kakeibo:じわじわと海外で拡がる日本の家計簿

家計簿と言えば主婦が家計の収支をやり繰りするためにノートにつける記録である。今どきは「主婦が」と言ってしまうのはポリコレ的にまずいのだろうが、そういうイメージを持つ人が多いという意味である。

厳密なフォーマットが決まっているわけではないが、基本的には家計のキャッシュフローを管理するためのものである。日本で女性初のジャーナリストである羽仁もと子氏が考案したものと言われる。

この家計簿は”kakeibo”として、海外でも定期的に取り上げられる。つい先日も、CNBCもお金の管理ができない米国人のためのコラムとして、日本の家計簿を試すことでお金の使い方が変わったという記事が掲載されている。

CNBC, “I tried ‘Kakeibo’: The Japanese art of saving money—and it completely changed how I spend my money”, 8 Jan 2020

今どきはアプリなど電子的に家計簿を付ける手段も沢山あるが、コラムでは「手書きで行うこと」で良くない消費習慣を改めるのに役立つことが示されている。

単純に思い立った時にオンラインでクレジットカード決済をするのではなく、アナログにノートで現金収支を管理することで、無駄な消費が減るし、そもそも買う余裕があるかどうかを慎重に検討することができる。クレジットカード債務に追われる人が多い米国人にとっては有益なアドバイスである。

このkakeiboはCNBCに限らず定期的に海外メディアで取り上げられている。その結果、Googleでの検索件数もじわじわと増加している様子が見られる。以下は「すべての国」における”kakeibo”の検索トレンドだが、特に米国ABCニュースで取り上げられて話題になって以降、少しずつ知名度が高まっているようである。

逆に日本では家計簿は少しずつ人気が落ちていっているように見える。以下は日本における「家計簿」の検索トレンドだが、少しずつ検索数が減少していっている。しかし、1月に新しい家計簿を買うために検索数が増え、夏休みの時期に検索数が少ないということから、習慣的につけている人が一定数いることが示唆される。

そういう意味では、海外ではまだ季節性が出ていないので、まだまだこれからと捉えることもできる。それでも、こんまりメソッドの次に来るブームとして可能性はあるだろう。

SNOOPYかんたん家計簿2020 (レタスクラブムック)

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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