ジョコ・ウィドド大統領がインドネシアの首都をジャカルタから東カリマンタン島に移転することを発表したが、今後議会で承認を得なければならないので国民の支持は重要である。
2019年8月14-21日に調査会社Kedai KOPI(ケダイ・コピ<コーヒーショップの意>)がインドネシアの34の州1,200人に対する世論調査を行った。
質問は”Apakah Anda setuju jika ibukota dipindahkan dari Jakarta?”(首都がジャカルタから移転することに同意しますか?)であり、全体としては、
- 同意(Setuju):35.6%
- 不同意(Tidak setuju):39.8%
- 意見なし(Tidak beropini):24.6%
というやや反対者が多い結果となった。「意見なし」が多いのは、国民性もあるが、東西に広く島が点在するインドネシアにおいては、移転元と移転先、その周辺地域以外はあまり関係が無いという事もあるだろう。
全体としては、同意も不同意もそこまで大きな差は無いが、地域差は非常に大きい。下図は地域別に賛否を示したものである。
まず、移転元のジャカルタ都民は圧倒的に反対者が多い(95.7%)というのが分かる。首都移転の理由として交通渋滞や地盤沈下、経済格差の是正など様々な問題があるが、移転しても前者2つの問題が直接的に解決されるわけではない上、経済格差についてはジャカルタ都民にとっては「分け与える側」であり、反対意見が多くなるのは当然だろう。
首都圏にまで範囲を広げれば、反対者の方が多いが、通勤など交通渋滞の影響を大きく受ける人が多く、賛否が二分している。
一方で移転先であるカリマンタン島は賛成が多い傾向が見られる。それでも反対も28.9%あるのは、恐らく指摘される環境への影響などの問題が影響しているだろう。
最も賛成が多く、反対が少ないのはスラウェシ島である。これは、移転先の東カリマンタン島の対岸にある島である。首都移転に伴う経済的なメリットを受ける一方で、環境問題の影響はあまり受けないという意味で、美味しい場所である。
それ以外の地域は反対意見の方が多いが、どこに首都があっても影響が軽微な地域(ジャワ島はジャカルタを含む地域だが、東西に広いので影響が少ない人も多い)であり、あまり関心が無い(もしくは判断できない)傾向が見られる。
参考文献:Kedai KOPI, “Polemik Kepindahan Ibu Kota, Ini Kata Responden KedaiKOPI”, 26 Aug 2019