タイが2Gサービスの廃止を断念

やれ5Gだ6Gだと言っているが、世界人口の半分近くの人はインターネットにアクセスできておらず、アクセスできている人の中でも全体から見ればまだまだ2G(第2世代移動通信システム)が主流である。

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とは言え、多くの先進国で2Gは終了してきており(日本では2012年に終了)、中所得国でも2Gサービスの廃止が検討されつつある。中所得国の定義は分かれるが、例えば経済産業省の通商白書2015では、1人当たりGNI(国民総所得)について、

  • 高所得国:12,746ドル以上
  • 上位中所得国:4,126~12,745ドル
  • 下位中所得国:1,046~4,125ドル
  • 低所得国:1,045ドル以下

と定義されている。2Gサービスの廃止もしくは廃止の検討がされ始めているのは上位中所得国(中国、タイ、ブラジル、メキシコ、南アフリカなど)に多い。

タイもNBTC(国家放送通信委員会)は、2019年10月までに全国的に2Gシステムを終了する決議を1月に発表していたが、この度廃案が発表された。

廃案の背景には、大手通信3社(AIS、true move、dtac)は引き続き顧客に2Gサービスを提供し続ける意向を示したことにあるが、その理由は「未だ2G利用者が非常に多い」ことがある。NBTCによると、各社の総契約者数と2G契約者数は、

通信業者総契約者数2G契約者数
AIS4,150万人200万人
true move298万人90万人
dtac2,040万人70万人

と合わせて360万人(全体の5.5%)と多くのユーザーが存在し、無理に終了しようとすれば消費者団体などから反発を受ける可能性があるからだ。

しかし、NBTC事務局長タコーン・タンタシス氏によると、それでも数年以内には2Gが停波される可能性は高いという。

そもそも2Gサービスの終了を進めようとする背景には、2Gは帯域幅を多く利用する割に客単価が非常に小さく、帯域の有効利用という観点でも、通信事業者の収益性という観点でも問題があるからである。殆どの2Gユーザーは電話とメールくらいしか使わないといったもので、月額数百円レベルの客単価である。

タンタシス氏は、実際に2Gサービスを停止する際には、ユーザーに3Gや4Gに移行させるための予算を計上する可能性があるとしている。日本でも固定回線などでは「終了するまで使い続けて魅力的なキャンペーン価格での移行」を待つユーザーが一定数存在したので、ぎりぎりまで使い続けるユーザーはいると考えられる。

参考文献[1]:Bangkok Post, “NBTC shelves dismantling 2G services”, 12 Nov 2019

参考文献[2]:経済産業省「通信白書2015」

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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