米国の学資ローンとFAFSAから見る金融リテラシー格差

米国の学資ローン債務者が供給される12月でも少し触れたが、米国で元々は連邦学資ローンを提供する政府機関で、今は民間の学資ローンを提供するサリー・メイ(Sallie Mae)<NASDAQ: SLM>による調査レポート”How America Pays for College 2019″に興味深いデータがある。

米国は厳しい学歴社会であるが故に無理してでも良い大学に行こうとする人は多いが、普通に考えれば借金する前にまずは学費を免除してもらえる道を検討するのが普通だろう。それが無理なら、今度は出来る限り金利の低い学資ローンを探すものである。

米国でも、まずはFAFSA(連邦政府学生援助無料申請)を申請するのが常識的と言えるが、どうやらそういう人ばかりではなく、そこには深刻な金融リテラシー格差が垣間見える。

調査対象者2,006人(親1,005人、学生1,001人)のうち、2018-2019アカデミックイヤーのFAFSAの申請についての調査結果は、

  • 申請完了:77%
  • 申請を開始したが完了できなかった:7%
  • 開始しなかった:10%
  • わからない:5%

3/4以上が(実際に援助を受けられるかは別として)FAFSAの申請を済ませている。しかし、そうではない人が一定数いることが分かる。

もっとも、申請が不要なほど裕福な人もいるという反論はありうるだろう。そこで、学資ローンを借りているか否かで見ると、

  • 学資ローンを借りている人でFAFSA申請を完了した人:83%
  • 学資ローンを借りていない人でFAFSA申請を完了した人:72 %

と、学資ローンを借りているにも限らず申請を完了していない人が17%いることが分かる。

では、何故FAFSAの申請をしなかったかということについて問えば、

  • 資格が無かった:39%
  • FAFSAを知らなかった:14%
  • 申請に必要な情報を持っていなかった:10%
  • 期限に間に合わなかった:15%
  • 申請が複雑すぎるなどの問題があった:8%
  • 時間が無かった:9%
  • わからない:4%
  • その他:13%

と、申請資格が無かった39%はさて置き、制度を知らないなど潜在的に援助を受けられたかもしれない人が一定数いるように思える。

よくよく考えれば、日本でもお金が足りない場合にリボ払いをしたり、資金繰りが悪化した時にダメ元で銀行や信用金庫などに行かずにいきなりサラ金や下手すれば闇金に走る人が一定数いるようである。

日米を比較した金融リテラシーの差などはよく指摘されるが、米国であってもリテラシーが無い人は本当に無いので、イメージ先行の比較は危険である。

参考文献:Sallie Mae, “How America Pays for College 2019”

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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