現状、米国では好景気な状態が続いている。現状、米国での差し押さえ率(Foreclosure rate)は2010年以降一貫して減少し続けている。
しかし、少し状況が変わりつつあるように思える。以下は2019年3~9月の差し押さえ種別の件数だが、Pre-foreclosure(差し押さえ前の通知)とAuction(競売)は減少する一方で、Bank-Owned(銀行所有)が増えつつある。
一般に米国の差し押さえプロセスとして、まずデフォルトしていることを通知するPre-foreclosureの段階がある。この時点で支払いが行わなければ実際に差し押さえられることは無い。
実際に差し押さえられると多くの場合は競売(Auction)にかけられる。その時に買い手がつかない場合、もしくは何らかの理由に競売にかけられない場合は貸し手である銀行に所有権が移り、銀行が所有(Bank-Owned)することになる。
長期データで見ると銀行所有も減少傾向にあるのだが、前年比で見ればPre-Foreclosuresが19.7%減、Auctionが13.4%減であるのに対し、Bank-Ownedが9.8%増であることには注意が必要である。
下図のようにGoogleトレンドで過去5年間の米国におけるacution(競売)とforeclosure(差し押さえ)の検索トレンドを見ると、どちらも似通った動きをしており、かつ季節変動があることが分かる。12月くらいが最も検索数が少なく、納税時期が始まる年明けから急激に検索数が増えるからだ。
但しトレンドを見ると、たしかにforeclosure(差し押さえ)は減少しているものの、auction(競売)の検索数が増加しつつあるように見える。
要するに、差し押さえ(foreclosure)は減っているが、auction(競売)に対する需要は増えており、その割に銀行所有(Bank-Owned)が増えているわけである。最近は米国ではforeclosure saleだけでなく、short saleも減少しているので、意図的に競売に出さないケースが出てきているのではないかと考えられる。