BBCが立て続けに性感染症の世界的な蔓延と「それ以上の危機」の可能性を警告している。
WHOによると性感染症(STI)が毎日100万人発症している(BBC)
- クラミジア、淋病、トリコモナス症、梅毒の4つの性感染症が 世界で年間3億7,600万件以上新規感染している
- WHOは2012年との比較研究で感染率の低下が見られないと判断し、性感染症の蔓延の阻止ができておらず「注意」を呼びかけている
- 25人に1人が4つの性感染症のうち少なくとも1つに感染している
- 自覚症状が無い性感染症が多く、重大な合併症も存在する
- 多くの性感染症は薬で治療することが可能
- 梅毒治療に使う特定のペニシリンの不足や、「スーパー淋病」の症例増加が問題
イギリスで増加する性病(BBC)
- 2018年に447,694件のSTIへの新規感染が確認され、前年比で5%増加
- 淋病が最も増加(26%増)し、1978年以来最大の56,259件
- 危険度が高いグループが若年層と男性の同性愛者
- 英国でも「スーパー淋病」の発症が確認されている
- STIの検査を受ける人が減り続けているのも問題
補足
4つの性感染症(STI : Sexually Transmitted Infections)のうち、半数近くはクラミジアであるが、最も増加率が高いのが淋病である。
中でも両方の記事に出てきており、非常に問題視されているのが、抗生物質の効かない耐性菌である「スーパー淋病」の増加である。スーパー淋病が蔓延するようになれば対策が困難になるので、WHOらは注意を促すとともに新たな抗生物質の開発なども提言している。
性感染症の増加の背景には基本的な性知識の欠如により、避妊具を利用しない性交渉が増えていることが挙げられている。
女性の罹患率も上昇しており、不妊の問題や、妊娠後の感染は胎児に悪影響を及ぼすなど長期的な懸念も強い。
英国ではまた別の問題もある。財政的な問題で公衆衛生部門において性感染症検査などに充てられる予算が減少しており、クラミジアの検査を受ける人の減少に寄与している。2018年はクラミジアに関しては新規感染が減少したが、検査を受けた人数の減少も関係しているのではなかろうか。
参考文献
BBC, “One million new STIs every day, says WHO”, 6 Jun 2019
BBC, “Sex diseases on the rise in England”, 4 Jun 2019