立て続けに原油価格がいずれ100ドルにまで上がるという予測が2つ出された。
一つはエジプトのオラスコム・インベストメントのCEOナギーブ・サウィーリス氏によるもので、18ヶ月以内に100ドルに達すると予測している。
サウジアラビアとロシアによる原油価格戦争は、米国のシェール産業を「殺す」ために計算されたものであり、シェール産業は少なくとも1年間は「消えた」状態になるという。銀行からの資金調達も難しくなり、新規の投資は困難になる。
新型コロナウイルスによる状況下でも、中長期的には世界経済は成長していき、原油需要は回復していくが、供給は元のように戻らないという見方だ。
もう一つはJPモルガンのレポートによるもので、2年以内に100ドルに達するという予測だ。
年末までは需要の低迷により35~40ドルという軟調な水準にとどまるが、より大規模な減産が行われ、2021年以降は需要の回復に伴い、長期的には強気な見方である。
2年という「短い期間」で100ドルに到達するかは筆者は疑問である。しかし、シェールオイル産業がハイイールド債やCLOと結びついた企業版サブプライムローンバブルの崩壊により、シェールオイル産業は一度完全に崩壊するという見方には同意である。
原油価格がそれほど上がらなくなったのは、シェールオイルが原因だが、そこが潰れてしまうのであれば、OPECが再び価格コントロール権を取り戻す可能性が高い。あとは戦争でも起これば原油価格はうなぎ登りである。
参考文献[2]:RIGZONE, “Oil Will Hit $100 in Around 18 Months”, 7 May 2020
参考文献[3]:FXSTREET, “Oil going to $100 within two years – JP Morgan”, 8 May 2020