金融サービス会社Shaw and Partnersのアジア太平洋地域のシニア・インベストメント・アドバイザーであるアダム・ドーズ氏はCNBCの取材に答えた。マカオやラスベガスのようなカジノ都市の成長に限界がきており、今後はM&Aによる成長を加速させる予測を示し 、既にその兆候が見られると指摘している。
カジノセクターにM&Aが加速するかもしれない(CNBC)
- 米国のカジノ企業はM&Aによる成長以外は殆ど選択肢が無い
- マカオのカジノ産業の総収入は4月は前年比8.3%減、ラスベガスのゲームでの利益は3月で前年比3.83%減
- 世界の他の地域でギャンブラーが集まる地域を開拓するのがどんどん難しくなっている
- オーストラリアは良い買収先の一つ
補足
オーストラリアが良い買収先であるとしているのは、主にTabcorpとTatts Groupのオーストラリアの2社の統合が成功したことを主な理由としている。また、直前に情報漏えいした結果交渉が終了してしまったが、米Wynn Resortsによる豪Crown Resortsの買収が合意間近であったことも理由として挙げられている。
一方で、野村インスティネットのハリー・カーティス氏はM&Aの加速に懐疑的な見方を示している。例えば、投資家Carl Icahn氏がCaesars Entertainmentを売却を検討しているが、買い手の候補はそう多くはないという見方を示している。これに関してドーズ氏は、ラスベガスの企業は個々の資産に対しての需要は十分にあると指摘している。
また、米国外でのM&Aについてカーティス氏は、一株当たり利益を増加させるような魅力的なM&Aの機会は限られていると指摘する。一方で、ドーズ氏は、米国の人口成長の鈍化とカジノの衰退から見れば、アジア太平洋地域の成長は魅力的であり、M&Aが進む可能性が高いと述べている。
筆者としてはドーズ氏の見方の方が妥当であると考えている。スキルゲームの伸びやオンラインカジノの成長(関連記事参照)など既存カジノが苦境に立たされる中、生き残り策としてM&Aに走るのは多くの業界でよく見られる現象だからである。
また、記事でも指摘がある通り、法的な問題をクリアしていて、既にカジノの進出先として魅力的な場所は大抵開発されているので、新たにカジノ市場を切り開ける機会は限定的であり、M&Aが次善策ということになる。
そういう意味では日本は新たにカジノ市場を切り開ける数少ない場所であり、海外カジノ企業から大きな注目を集めている背景として非常に納得がいく。