減少するベトナムの交通事故死亡者数と厳格な交通警察

2018年のベトナムの交通事故死亡者数は8,079人である。ここ10年間の平均なら10,000人を超えているが、その数は減少し続けている。人口10万人当たりの交通事故死亡者数は、2010年に24.7人だったのに対し、2018年は8.1人と1/3にまで減少している。

日本は2018年の人口10万人当たりの交通事故死亡者数は2.8人だが、日本も昭和60年頃から平成7年頃までは8.0人を超えていた。日本もつい最近(と言っても20年以上前だが)までこれくらいの数値だったのであり、ベトナムがイメージに反して交通状況が良いことが分かる。例えば同じ東南アジアでも、世界最悪レベルの交通事故死亡率であるタイは33.5人である。

経済水準などから考えれば、ベトナムの交通事故死亡者数は非常に少ないと言えるが、なぜこのような状況になっているかと言えば、おそらくは交通警察の厳しさが影響しているだろう。

10年間における交通警察の取締り実績を見れば一目瞭然である。日本の人口は1億2,600万人であるのに対し、ベトナムの人口は9,600万人である。

取締り件数こそ年平均530万件で、日本の598万件(2018年)とそれほど変わらない水準だが、10年間での運転免許取消は年平均34万人(日本は2018年で4.3万人)と8.5倍にも達する。車両の押収は10年間で1,500万台以上にのぼる。

それでもベトナムメディアでは、まだまだ批判的に取り上げられており、警察当局も更なる事故件数の低下を目指している。事故原因の多くは、運転技術の未熟さや交通法規を認識していないことに起因しているようで、今後は社会教育なども含めた対策も必要だろう。

参考文献[1]:内閣府「令和元年交通安全白書」

参考文献[2]:statista, “Number of deaths caused by traffic accidents in Vietnam from 2014 to 2018 (in 1,000s)”

参考文献[3]:Vietnam net, “Traffic accidents kill nearly 10,000 annually in Vietnam”, 9 oct 2019

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