日本だと水道は基本的に公営である。2018年に成立した改正水道法ではコンセッション方式による民間事業者への運営委託が可能になったが、諸外国の一部例外的な悪例を持ち出した批判が強く、大きく広がるという動きにはなっていない。(過去に指摘したように、本質的には広域での水道局統合による一人当たりのインフラ維持コストの低下である。)
それはさて置き、諸外国では水道や港湾会社など日本では公営が中心のビジネスが上場しているケースは珍しくなく、特に国営企業をどんどん民営化して上場させようとするベトナムでは、その動きは顕著である。
例えば港湾会社では過去にも紹介したダナンポート(Da Nang Port JSC)などがそうである。
今回着目するのは上下水道セクターである。タイトルで「コロナ渦でも人は水を飲む」と書いたが、それはその通りで、どのような状況でも一定の水の消費が存在し、人口増加と経済成長によってそれは増えていく。
ベトナムの場合、2017~2020年の年平均成長率は、工業需要で43%、上水消費が35%と爆発的な成長率を記録している。
ドンナイ・プラスチックやビンズオン・ウォーター・エンバイロメント、ダウ・モット・ウォーターなどが市場で大きなシェアを持つ会社だが、業界の80%以上の会社が売上総利益率30%を超えている。
それはその筈で、インフラ事業は本来、利益を出そうと思えば暴利を貪る事も可能な事業である。当然やり過ぎると悪影響が強いので、大抵はある程度法規制があるし、日本でコンセッション方式に批判的な論者が多いのは、これが理由である。
ベトナムの水道事業へは外国人投資家からの人気も高く、コロナ渦でも大きく値下がりしなかった銘柄も幾つか見受けられる。同セクターの企業一覧(すべてが上下水道を扱っているわけではないが)を見ると、非常に小型株から大型株まであり、その財務状況も玉石混交だが、物色してみると面白い。
ベトナム株を見る時の注意として、個別の事業や財務状況など当然の要素に加え、
- 為替レートの変動
- ボラティリティと出来高
- 外国人保有比率
などは特に注意しなければならない。
参考文献:Vietnam+, “Water sector draws investment”, 12 Jul 2020