米国のコロンビア特別区(ワシントンDC)はアメリカ合衆国連邦議会直属の特別区であり、特定の州に属さない。しかし、その規模と重要性から「51番目の州」に昇格させよという議論は度々起こる。
政治・経済的に重要なのは勿論、人口は60万人を超え、これは米国で最も人口が少ないワイオミング州の56万人よりも多い。(2010年国勢調査)
過去にも、
- 1978年:ワシントンDCに議会での議決権を求める憲法改正が提案
- 1993年:下院がワシントンDCを州にするための立法案を否決
- 2016年:ワシントンDCで諮問的(拘束力の無い)国民投票の実施が承認
- 2019年:特別区の拘束力の無い議決を承認する法案を下院で議論
など議論は行われ続けている。
今年の後半にはワシントンDCに州選挙権を認めるための法案が下院委員会で議論される予定だが、現時点では法案成立の見込みは無い。
というのも、歴史的に同地区は「民主党支持」であり、州に昇格させることはそのまま「民主党議員の増加」を意味するため、現時点で共和党が多数派を占める上院で法案が通る見込みが無い上、どうしても「政治色」が強い議題となるため、国民全体としても反対派が多いのである。
先日、ギャラップ社がワシントンDCの州昇格について世論調査を行ったが、
- 民主党支持者の賛成は39%、共和党支持者の賛成は15%
- 東部居住者の賛成は38%、中西部と南部居住者の賛成は25%、西部居住者の賛成は28%
とリベラル傾向が強い民主党支持者でも半数を超えず、当事者である東部居住者でも40%を下回る。
合衆国憲法では大統領選挙の際にワシントンDCを州に昇格させるための国民投票を行うことができるが、来年の選挙での実現は不可能に近いと言って良いだろう。
参考文献:Gallup, “Americans Reject D.C. Statehood”, 15 Jul 2019