米国では今、民主党を中心に最低賃金を15ドルに上げる事を目標とする運動や立法活動が盛んである。現在米国の最低賃金は、連邦最低賃金が7.25ドルで、州によっては11ドルを超えるところもあるが、一部の市レベルを除いて15ドルというのは高い目標である。
参考:ジェトロ「ワシントン州など18州で最低賃金を引き上げ-税制改革受け企業レベルでも賃上げや一時金支給の動き-」2018年01月30日
5月にはフロリダ州でマクドナルドに最低賃金を15ドルに上げるようにするでも活動が発生したが、こうした分野のビジネスにおいては最低賃金が非常に重要だが、逆に言えば最低賃金の法的下限を高くし過ぎると恩恵を受ける労働者が多い一方で、仕事を失う労働者もいるかもしれない。
議会予算局は、2025年までに最低賃金を15ドルにまで上げた場合の労働市場への効果を予測している。それによると、
- 時給15ドル未満で働く1,700万人の所得上昇効果
- 130万人が職を失う
と多くの場合に所得上昇効果が見られるものの、仕事を失ってしまう人もいるという予想である。
筆者としては130万人というのはかなり控え目な数字であるように思える。マクドナルドを例に挙げれば、飛躍的に最低賃金を上げれば、撤退したり、撤退しなくても「更なる自動化・機械化」を推し進めるようになるのではないかと思っている。
日本でも「全国一律最低賃金を○○円に」といった運動が見られるが、高い水準で固定してしまうと、田舎からファストフード店とコンビニが消滅したり、或いは一気に無人化の動きが進むと思える。これは人材が足りていないにも関わらず賃金が上がらない保育や介護などでも同様である。