吉村洋文大阪府知事がポビドンヨードを含むうがい薬が「新型コロナウイルス陽性患者のPCR検査陽性率が下がった」ということをもって、うがい薬でのうがいを推奨し、ネットでは騒動になっているし転売も横行している。
(なお、メルカリなどで売られているうがい薬の大半は「医薬部外品」でありポビドンヨードが含まれていないし、含まれている「第三類医薬品」の転売は薬機法(旧薬事法)違反の可能性が高い。)
さて、うがい薬のうがいを多く繰り返しても、
- 喉奥のウイルスが死滅してPCR検査で陰性が出ているだけ
- PCR検査を誤魔化すために悪用される可能性
- 常在菌まで死んでしまうので他の感染症リスクが高まる
- うがい薬の濫用は甲状腺機能に悪影響がある可能性
といった指摘が散見される。筆者も概ねその通りだと考えているが、敢えて吉村知事をフォローするならば、「喉奥のウイルスが死滅していれば、暫くは飛沫による感染リスクが低下する可能性」はある。
それはともかく2.の「PCR検査を誤魔化すために悪用される可能性」である。
世の中には「陰性を証明しろ」と迫られて4万円もするような自費でのPCR検査を行う人が少なからず存在するようである。(偽陰性の可能性もあるし、真陰性だったとしてもあくまでも検査時点での話であり、検査から時間が経つほどその証明は無意味になってくる。)
そんな世の中だから検査前にイソジンでうがいを繰り返してPCR検査を乗り切ろうとする人も多いだろう。岩手県民など村八分を恐れている人は尚更その行動に結びつくインセンティブが働くだろう。
しかし、これは「悪用」ではなく「PCR検査での陽性者数が減ればOK」と本気で考えている人が行政にも存在するはずだ。
その実例が「5人以上の会食自粛要請」である。5人という数値に根拠は無いとされているが、筆者は根拠があると考えている。
それは「クラスター感染」「集団感染」の定義である。厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症における患者クラスター(集団)対策について(依頼)」という文書で、以下のように各自治体に通達している。
1.クラスター対策班に相談する際の目安
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症における患者クラスター(集団)対策について(依頼)」(PDF)
【対象】積極的疫学調査等により、新型コロナウイルス感染症患者の集団発生が見込まれる場合
※1 集団発生とは、当面の間接触歴等が明らかとなる5人程度の発生を目安とする
必ずしも5人以上というわけではないが、4人までならばクラスター感染として認識されないケースが少なくないということである。クラスター感染の発生はメディアで大きく取り上げられる。店舗としてもダメージが大きいだろう。尤も店員も感染するようなケースだと5人を超えてくるわけだが。