インドの人口の80%はヒンドゥー教徒であり、イスラム教徒は14%に過ぎない。嘗ての宗主国イギリスが両者の宗教的対立を煽ったことで、未だにその対立は根深い。
世界的にイスラム教徒の人口が増えているため、今後の市場成長を意識して、多くの国でハラール認証を取得しようとする動きは強い。
マクドナルドもその一つで、以前からインドでハラール認証を取得した製品を提供していた。
ことの発端は、あるツイッターユーザーが、マクドナルド・インドの公式アカウントに以下の質問をしたことにある。
@mcdonaldsindia Is McDonald’s in India halal certified?
— hibailyas (@hibailyas89) 2019年8月22日
質問はシンプルで、「インドのマクドナルドはハラール認証を受けているか」というものだ。
これにマクドナルド・インドは2本のツイートで丁寧に回答をしている。
All our restaurants have HALAL certificates. You can ask the respective restaurant Managers to show you the certificate for your satisfaction and confirmation. (2/2)
— McDonald's India (@mcdonaldsindia) 2019年8月22日
最初の返信でHACCP認証を受けているという回答をした上で、次の返信で「全ての店舗でハラール認証を受けている」とした上で、各店舗の店長に聞けば証明書を見せてくれると回答している。
丁寧な回答だと思うが、これが炎上の種となった。インドのヒンドゥー教右派グループが問題視し、いわゆる「炎上」が起こっている。
イスラム教でハラールというのに対し、ヒンドゥー教では適切に処理された食肉をジャトカ(jatka)という。多くの国民がヒンドゥー教徒であるインドにおいて、ジャトカ製品ではなくハラール製品を提供するということを大きく問題視しているわけである。
現在ツイッターでは、#BoycottMcDonaldsというハッシュタグで不買運動が起こっている。
アルジャジーラの取材によれば、今のインドはイスラム教徒の権利を保護しようとする動きが強くあり、それがヒンドゥー教徒から反発を生んでいる。
インドでは以前にもLCCであるIndiGoが機内食でハラール肉を提供することに対してネット上で不買運動が起きるなどしている。
もっとも、全てのヒンドゥー教徒がハラール肉であることを気にしているわけではない。栄養や発癌物質、衛生面の方が重要であるからだ。
一部の右翼活動家が過剰に騒いでいるというのが事実だが、マクドナルドがこの問題を収束させることはそう簡単ではないだろう。
参考文献:Al Jazeera, “McDonald’s faces boycott threats in India for serving halal meat”, 26 Aug 2019