前々からトランプ大統領はグリーンカード(いわゆる米国永住権)の改革を掲げているが、政策演説で新しい制度改革案について今日ホワイトハウスで発表される予定だ。
イヴァンカ・トランプ氏の夫であり大統領上級顧問であるジャレッド・クシュナー氏は、国境軽微の強化とグリーンカード改革に重点を置いている。
グリーンカードは表面上は「特筆する能力を持つ人」に対して発行するものだが、実態としては永住権を持つ人の家族に対する発行が66%を占めており、能力に基づく発行は12%に過ぎない。
元々トランプ大統領は既に発行済のグリーンカード110万枚自体を触ろうとしていたが、現実的に反対が強く、新しく発行するグリーンカードの半数以上を能力ベースに基づくようにする、という内容になると見られている。
The Economic Timesの報道では、上級行政担当者の話では今回の政策案は「非常に詳細な立法案」になる。問題は民主党が賛成するかどうかだが、賛成しなければ米国大統領選の争点になるのではないか、という見方を示している。
既にグリーンカードを持つ人に対して何らかの策を取るのは猛反発を受けるが、新たに発行する方針を「本来のあり方に戻そう」というのは広く国民の賛同が得られやすいと考えられる。
しかし、民主党が賛成するかと考えれば筆者としては疑問である。というのも、トランプ大統領が法案を提起し、すんなりと審議が進んでいけば、来年の大統領選挙でトランプ大統領がアピールできる成果の一つとなってしまう。
寧ろ反対に回って大統領選挙の争点に持ち越させるという方が野党の戦略としては可能性が高いだろう。
参考文献:The Economic Times, “Donald Trump to propose merit-based immigration system”, 16 May 2019