投資と投機とギャンブルは、人によって定義が異なり定説は無い。投資とギャンブルについては最近、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏が指摘したように、
金融商品などを購入することによってプラスの収益が期待できる、つまり期待収益率がプラスであるのが投資ではないかと筆者は考えている。一般的なギャンブルや宝くじは還元率が100%未満、つまり期待収益率はマイナスである。そのため、ギャンブルや宝くじは娯楽サービスの消費であり、筆者の中では投資とギャンブルは明確に異なっている。
ニッセイ基礎研究所
と期待収益率がプラスかマイナスかで投資とギャンブルを区別するような見方が多いと思われる。
結果的に経済成長を伴うようなものは「長期的には皆儲かる」のであり期待収益率が100%を超える。よく言われる「ダウ平均株価」がその代表例だが、この場合は「投資を止めない」ことが重要となる。
ギャンブルは前山氏が挙げる宝くじといった娯楽としてのギャンブルだけでなく、筆者はFXなどもギャンブルと考えている。これは何もレバレッジをかけるようなハイリスクなトレードだけでなく、通常の為替取引も入る。
というのも、為替取引の利益は誰かの損失であるからだ。純粋な利益の合計だけならゼロサムゲームだが、手数料がかかるのでマイナスサムゲームである。これはギャンブルにおける胴元と同じ構造であり、低リスクな為替取引であっても本質的には変わらない。
無論、論者によっては「胴元が取る手数料の差」をもって「投機」と「ギャンブル」で区別するケースもある。しかし、このケースも「宝くじ」や「パチンコ」といった還元率が非常に低い賭博は説明できるが、海外のオンラインブックメーカーなどであれば還元率は99%以上といったケースも多い。宝くじはギャンブルだがブックメーカーはギャンブルではないと考える人は少ないのではなかろうか。
他には投資と投機について、投資を「インカムゲインを狙うもの」、投機を「キャピタルゲインを狙うもの」と定義する論者もいる。
これは株式投資など同じカテゴリーにおいて長期投資と短期投資を比較するケースでは有効な区別だが、賭博は想定していないように思える。競馬の払戻金は「配当金」とも言われるのでインカムゲインと言っても良いが、そういう意味で投資と投機を分類しているわけではないだろう。
前山氏は投資とギャンブルを期待収益率の正負で分類した。期待収益率での分類は筆者も同意だが、言葉としては投資と投機で呼びたい。(投機の中に狭義のギャンブルが含まれるという解釈だ。)
参考文献:ニッセイ基礎研究所「投資とギャンブルは何が違うのか」2019年6月20日