とある大手金融機関の「商品を売らない営業」

某大手金融機関の営業マンによる「セミナー」と銘打った営業を聞いた。筆者自身が営業を受けたわけではなく、別の仕事のついでにたまたま見物する機会があったので、隅っこで聞いていただけである。

先日の「老後に2,000万円足りない」という話から始まり、資産形成の重要性や複利やドルコスト平均法投資など基本的な話を中心に、たまに不安を煽ったり、先に投資を始めることの優位性を煽ったりという内容であった。

なるほど、その話だけを聞けば一見筋が通っており、金融リテラシーが無い人なら納得してしまいそうな話しぶりであった。実際には突っ込みどころ満載であるが、話は上手く、結構な人数が営業マンに連絡先を渡していた。

筆者からすれば、2,000万円は「現在の引退世代の平均収入と平均支出の差」でしかなく、中央値ではないので何の意味も無いと考えている。(資産家が平均支出を跳ね上げているだけで、普通の人は収入の範囲で暮らしているのだ。)

また、複利の重要性を「上がる方」ばかり強調し、その金融機関の手数料の高さによる「負の複利」を考えないのはフェアではない。投資においてはまず手数料を下げることから考えるのが重要だろう。

そして、いつもの「ダウ平均株価の50年チャート」を取り出し、「確実に儲かる」ような印象付け(実際に何度か発言している)を行っているわけだ。

これを何らかの商品と紐付けて言えば完全にアウトだが、あくまでも「50年間のダウ平均株価」(過去の話)であり、「セミナー」と銘打ち、自社の商品はその場では一切紹介しないのがポイントである。

前述の通り、多くの人が連絡先を営業マンに渡していた。その後、どのような商品を売りつけられるのかは知らないが、(あくどいなと思いつつも)この手法には素直に感心である。無論、「営業」妨害になるので、その場では何もツッコミを入れていない。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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