EF英語能力指数の国別比較や時系列比較にあまり意味は無い

国際教育会社EF Education Firstは2011年から毎年、非英語圏の英語力を調査してEF 英語能力指数(EF EPI)を公開している。

特定の国の英語力の低さを指摘するときによく使われ、最近もNNAは「タイの英語能力が3年連続で低下」していることを報じたり、元官僚の古賀茂明氏は2018年のデータをもって「日本の英語力はベトナムより下という惨状」という記事をアエラに公開したりしていた。

EF英語能力指数で使われている英語試験自体は良いものであり、個人が英語力を測るための手段としては有効である。例えば2017年のEF英語能力指数は、TOEFL iBTのスコアと0.80の高さで相関しており、

  • Very High Proficiency(非常に高い習熟度)
  • High Proficiency(高い習熟度)
  • Moderate Proficiency(標準的な習熟度)
  • Low Proficiency(低い習熟度)
  • Very Low Proficiency(非常に低い習熟度)

という5段階のどこに位置するかをもって英語力を判断するのは有用だ。(スコアはCEFR<ヨーロッパ言語共有参照枠>とも対応している。)

ただし問題は誰でも無料でオンラインで受験できるということである。本番試験はユーザー登録をした上で50分かかるが、お試しとしてのクイックチェックなら15分でできるのでレベル感を確かめることができるが、読解もリスニングもかなりハイペースで解いていかないと間に合わないものであり、良問も多い印象である。

参考:EF SET

ただ、誰でも無料で受験できるということは、その試験自体の認知度や受験する人の意識によって結果が大きく左右される。例えば今年は100ヶ国中53位で「低い習熟度」という結果であったが、制度の始まった2011年は44ヶ国中14位で「標準的な習熟度」であった。

国のスコアは400人以上受験しないと算定されないが、時間とともに受ける人が増えており、時間とともに全体的にスコアが下がっているようにしか見えない。2011~2015年までは「標準的」だったのが、2016~2019年は「低い」となっているが、ここ数年で日本人の英語力が急激に低下したというのも不自然な話である。

また、国によってはようやくインターネットの普及が進んでいき、海外志向などから受験者が増えているといったケースもある。こうしたケースでは腕試しで受ける人が増えてきていると思われる。日本とベトナムをそのまま比較してもあまり意味は無い。何よりも冒頭の記事はベトナムに対しても失礼である。

以下は日本とベトナムの順位とランクを示しているが、ベトナムのランクは非常に不安定であり、日本と比較してもあまり意味がないように見える。

日本とベトナムのEF EPIの結果推移
出典:EF EPI 2019より筆者作成

強いて言うなれば、ランク別にどのような国が並んでいるかといった大雑把な傾向を見ることには意味があるが、あまり目新しい発見は無い。(ヨーロッパが全体的に高く、他は英語も公用語に入れている非英語圏国が高い傾向にある。)

参考文献:EF EPI 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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