バーガーキングが植物性バーガーを通常の肉と同じグリルで調理したとしてビーガンに訴えられる

自分の首を絞めることに繋がると思わないのだろうか。

バーガーキングのインポッシブルバーガーが肉で汚染されているという訴訟(Reuters)

  • 植物性由来肉を使ったインポッシブルバーガーを従来のバーガーと同じグリルで調理したとしてビーガンが集団訴訟をマイアミ連邦裁判所に提起
  • 米国でインポッシブルバーガーを購入した全ての消費者への損害賠償を求める
  • ウェブサイトでは「100%ワッパー、0%ビーフ」と表記
  • インポッシブルフーズは「厳格なビーガンには電子レンジ調理を推奨している」
  • バーガーキングは係争中の訴訟についてのコメントを拒否

解説

バーガーキングは8月からインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)が提供する植物性由来肉を利用したバーガー(正式名称はインポッシブル・ワッパー)を提供している。インポッシブル・フーズはビヨンドミートと並んで注目されている企業で、ファストフードチェーンも次々と導入をしている。

今回の訴訟は、「0%ビーフ」と謳っているのに通常のバーガーと同じグリルで植物性由来肉を焼いたことにより肉でコーティングされているという主張である。

筆者にこの訴訟でどちらが勝つかを判断する能力は無いが、もし「米国でインポッシブルバーガーを購入した全ての消費者への損害賠償を求める」という訴えが認められれば、米国でありがちな懲罰的損害賠償が求められることになる。

もしビーガンが裁判に勝ったとしても、これは布教を進めるビーガンの勝ちを意味しない。この訴えがまかり通るのであれば、各店舗は植物性バーガー専用のグリルを用意もしくは植物性バーガーを電子レンジ調理という対策を取らなくてはならない。

前者はただでさえハイコストで一過性の流行の可能性が指摘される中で、まだ試験導入段階の製品専用の調理器具を用意するのは企業にとって重荷である。

後者は原料の提供元であるインポッシブル・フーズが推奨する方法だが、明らかに味は落ちると思われるし、電子レンジの規模にもよるが一度に焼ける枚数が限られるので顧客当たりの製品提供速度は落ちるだろう。

まさに宗教的紛争と言えるような今回の訴訟だが、主張内容を見る限りでは、一部で実験を行っているものの植物性由来肉の全国展開に懐疑的なマクドナルドのスタンスは正しいと言える。

関連記事:肉食原料主義者の論考を見ればマクドナルドが植物肉バーガー導入に慎重になる理由が分かる

上記記事で現在のマクドナルドは、チキンナゲットやフィレオフィッシュを開発した時のような社会的経営的事情が無いので、積極的に植物性由来肉を導入するメリットは無い一方で、

この2つの例は「マクドナルドが経営危機に瀕した時の起死回生の一手」として行われたものだ。こういう抜本的な商品開発に比べれば、植物肉バーガーは仕入れ商品が増えるだけで専用機材が増えるわけではないので、導入が低リスクだという。

という立場を取っていたが、訴えが認められるならば導入コストの安さというメリットも損なわれることになる。

参考文献:Reuters, “Lawsuit claims Burger King’s Impossible Whoppers are contaminated by meat”, 19 Nov 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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