米国のベジタリアン・ビーガンは一貫して少数派である

ビヨンド・ミート(Beyond Meat)など植物性由来肉市場が活況であるが、一過性のブームに留まるのか今後定着していくのかは筆者は未だ疑問である。ベジタリアンやビーガンに限らず「週に1度だけ肉食を控えよう」といった動きもあるが、こうした運動は以前から行われているので、それが本当に定着しているかを見るのは重要である。

ギャラップ社は不定期で米国の成人に対して食生活や栄養についての調査を行っている。基本的には以下でデータを閲覧できるが、データの種類が非常に多いので、ここではトピックを選んで整理する。

以下は「ベジタリアンもしくはビーガンと自認する人の割合」を示している。ビーガンについての調査は最近しか行われていないが、ベジタリアンは一貫して5-6%の割合で少数派であることが分かる。ビーガンは少し増えているようにも思えるが、これだけでは統計的に有意かどうか分からない。

但し、ベジタリアンであるか否かは属性によって傾向は大きく異なる。

  • 性別:男性(4%)・女性(6%)
  • 年齢:18-34歳(8%)・35-54歳(7%)・55歳以上(2%)
  • 人種:白人(3%)・白人以外(9%)
  • 政治的イデオロギー:保守(2%)・中立(3%)・リベラル(11%)
  • 地域:東部(8%)・中西部(4%)・南部(4%)・西部(6%)

政治・人種・年齢による傾向が強いことが分かり、一部の先鋭化したビーガンから分かるように政治的な傾向は強い。リベラルの11%がベジタリアンというのは驚異的だ。但しベジタリアンはビーガンと違い「卵や乳製品、魚は食べる」といった人は多く、あくまでも自認の問題である。

寧ろ「どんな食品・栄養素を避けているか」というところがデータとして面白い。元データでは非常に様々な食品が取り上げられていたが、特に変化が興味深いものを取り上げたのが以下である。

摂取を避ける傾向が強いのが、炭酸飲料、脂質、塩、砂糖であり、このうち炭酸飲料を避ける人が多く増えたのに対し、脂質を避ける人は大きく減ったことが特徴的である。

脂質を避ける人が減ったことの背景に、やはり糖質制限ダイエットがあるだろう。炭水化物を避ける人が増えてきており、2002年に20%だったのが2018年には28%にまで増加している。

一方で牛肉や赤身肉をを避ける人は20%程度で一貫して横ばいである「牛肉や赤身肉を避けること」と「ベジタリアン」の間には15%もの違いがあるが、これは、

  • 代わりに鶏肉や魚介類を中心に食べる
  • たまに赤身肉を避けるだけでベジタリアンではない

という風に両者には大きな隔たりがある。但し、どちらも一貫して同程度で推移しており、定期的にベジタリアンやビーガンが取り上げられるが、定着してきているとは言えない。

もっとも、この調査も去年のものであり2019年に入って状況が変わってきている可能性がある。それでも食生活を変えることは簡単にはいかないので、今後もこのデータには注目である。

参考文献[1]:GALLUP, “Nutrition and Food”

参考文献[2]:GALLUP, “What Percentage of Americans Are Vegetarian?”, 27 Sep 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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