日銀と金融庁がCLO投資で合同調査、金融機関の保有把握へ(Bloomberg)
遂に日銀と金融庁が邦銀のCLO投資への実態調査およびリスク把握に乗り出すらしい。(※今回記事内でCLOとは現在特に米国で盛んである、投機的格付け企業向けローンを証券化した商品のことを指す)。
焦点:CLO投資、農中・ゆうちょ急増 大手銀保有は今後も増加へ(ロイター)
ロイターでも以前より邦銀の保有金額の増加傾向を取り上げられており、18年12月末時点で農林中金は6兆8000億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆5000億円、ゆうちょ銀行は1兆円と回答している。
以前より、このリスク商品の保有額の増加については度々問題視されてきている。特に米国での低金利で資金が市場に溢れている借り手優位な状況下において、
- 低格付けの企業への投資がますます拡大していること
- 高リターンを謳うが一方で商品の質が下がっていること
が大きなリスク要因として認識され始めている。
日銀と金融庁によるこの局面での動きというのは、やはり景気後退局面への転換を意識し始めたということであろうか。
今後調査は進むと思われるものの、実際にCLOのリスク査定は非常に難しいと考えられる。というのも、複数企業のローン債権を混ぜた商品であれば、それぞれの企業の分析を進めないと真のリスクは測れないためであるが、含まれているものは膨大であろうと考えられるからだ。
現状、米国における借り手優位な調達マーケットであるがゆえに生存している、赤字を垂れ流している企業は有名なベンチャーでも多く見受けられる。今後の金利上昇局面やその他要因における景気後退に果たして耐えられるのかは非常に懐疑的な点である。そのような状況に陥った場合のCLOの行く先は決して安泰ではない。