多くの調査で男性よりも女性の方が投資利回りが高いことが分かっている。孫引きとなってしまうが、例えばポートフォリオ管理サービスSigFigによる75万人の個人投資家ポートフォリオの分析によると、2014年の利回りは平均だけでなく中央値も男性の4.1%に対し女性は4.7%と上回る。
但し、これは平均・中央値の話で、全体的に女性が優れているというよりかは、一部の男性のパフォーマンスのせいと言えそうだ。同調査において、男女別に「市場平均以上(オレンジ色)」、「プラスだが市場平均を下回る(灰色)」、「損失を出した(赤色)」で分けたのが下図である。
多くの投資家が市場平均を上回ることができないのは既知として、市場平均以上の割合は男性がやや多いにしても、損失を出した投資家の割合は明らかに男性の方が多い。
これは一般に女性より男性の方がリスク選好度が高いことが影響している。以下はS-Bankによる調査結果で、リスク毎のミューチュアルファンド投資への男女比は、ハイリスクになるほど男性投資家の割合が高くなることが分かっている。
より顕著なデータはビットコインへの投資だ。ビットコイン関連の情報や統計を提供するCoin Danceによると、同サイトのGoogle Analyticsで見たトラフィックは、2020年4月2日時点で男性が87.72%を占める。
こうしたリスク選好の違いはポートフォリオにおける株式・債券比率にも現れており、投資顧問会社Bettermentの顧客は、基本的には助言されたポートフォリオでの運用だが、それ以外の部分では女性の方がやや債券比率が高い傾向が見られる。
これはインドネシアにおけるイスラム金融において、スクーク(イスラム金融における債券)投資においても、2019年は男性が35,253人(44.54%)に対し、女性は43,890人(55.45%)と女性の方が多い。
ビットコイン投資への男女別の興味の違いなどを見ても分かる通り、一部のバカリスク愛好的な投資家が大きく損失を出し、結果的に男女別に見た時に女性の方がパフォーマンスが高いということが分かる。一方でハイリスクな投資は成功すれば大きな利回りになるので、有名な投資家の多くが男性であるという背景にも、リスク許容度の違いが影響しているだろう。