禁煙の為に紙巻きタバコを併用したり、紙巻きタバコを辞めて電子タバコに変えたりといった人はよくいる。しかし、American Journal of Preventive Medicineに掲載された最新の研究によればこうした行動が脳卒中リスクを高めるかもしれない。
論文では、全国的な年次横断健康調査であるBRFSSのデータに基づき、18-44歳の米国人161,529人に対するアンケート調査により、電子タバコと紙巻きタバコの使用と若年性脳卒中の関係が分析された。
年齢、性別、人種、民族、学歴、収入、婚姻、健康保険、国勢調査地域、BMI、身体活動、大量飲酒、糖尿病で調整されたデータを用いると、非喫煙者に対する発症リスクは、
- 紙巻きタバコ単体の喫煙者:1.59倍(<0.01)
- 過去に紙巻きタバコを喫煙し、現在は電子タバコ単体の喫煙者:2.54倍(<0.05)
- 紙巻きタバコと電子タバコの併用者:2.91倍(<0.01)
であり、両方を併用すると発症リスクが2.91倍、紙巻きタバコから電子タバコにシフトした人は2.54倍と、紙巻きタバコだけを吸っている人よりも脳卒中の発症リスクが高い。(括弧内はP値)
一方で興味深いことに、紙巻きタバコだけの喫煙者に対して(過去に紙巻きタバコを吸っていない)電子タバコだけの喫煙者の脳卒中発症リスクは0.43倍と低いという結果が出ている。
紙巻きタバコから電子タバコに切り替えた場合の発症リスクは有意水準が5%に過ぎないが、少なくとも併用することは発症リスクを3倍近くにまで高めるため、紙巻きタバコの喫煙を減らすために電子タバコを利用するというメリットは少ないかもしれない。
但し、この研究は電子タバコの利用や脳卒中の病歴など自己報告データを用いているので、その点で有効性が制限される可能性がある。また、因果の向きが逆である可能性も指摘されている。例えば、脳卒中にかかった患者が禁煙を試みて電子タバコを利用するようになった可能性もある。