カジノが客に金を使わせる為に利用する9つの戦略

Business Insiderが、カジノは音・光・デザインを利用して、あの手この手で客に金を使わせる為の工夫を行っている事を指摘している。

筆者は海外によく行くが、カジノがある場合は一度は足を運ぶようにしている。筆者は予算を決めて、それ以上は一切カジノで支出しないので、寧ろ「あの手この手」を楽しんでいる客(カジノにとっては悪い客だ)だが、これから紹介する9つのトリックは既知のものもあれば、言われて気づくものもあり、非常に興味深い。

1.チップでゲームをプレイさせること

カジノでチップを利用する事自体が客に金を使わせるための戦略であることは有名だ。

現金を直接利用するのではなく、チップに交換してからゲームを行うことで「お金を出しているという感覚」を抑制し、賭けへの抵抗感が弱くなるという狙いだ。

カジノでもデジタルゲームが増えており、こうしたゲームにおいては専用のカードに現金をチャージすることで利用する。

クレジットカード破産してしまう人がいるという事を考えれば、これが「ある種の客」に効果をもたらすというのは納得である。

使いすぎないようにするには筆者のように決めた金額しか持っていかないのが大事である。(ATMでキャッシングしてしまうほどのめり込んでいる人は、それ以上の対策が必要である。)

2.時間が分からない

時計が無いカジノは多く、「どれだけの時間を過ごしたかを感じさせない」施設作りをしている事が多い。

筆者の印象でも確かに時計を見た記憶は無く、また「窓があるカジノ」というのもあまり見たことが無い。これも時間の経過を感じさせないための工夫だろう。

スマホでアラームでも設定しておけば対策できるだろうか。

3.無料のアルコール

カジノでどのゲームをしようかと迷っていたら、すぐにお姉ちゃんが近づいてきて、グラスに入った酒を勧めてくる。(バニーガールではない。)

スロットなどゲームをしている人の所にも持ってくる。酒というのは判断力を鈍らせるのに最も効果的で手っ取り早い。

筆者はあまり酒を飲めないので大抵は断るが、そうすると、ジュースやお菓子、場合によってはフードコートのミールクーポンなどをくれる。

とにかく長く滞在してもらうのが客単価を上げるのに重要であり、お金が無くても楽しめるのがカジノだ。

4.迷路のようなプレイフロア

出口まで一直線といったフロアレイアウトになっていないことが多い。スロットなどが壁となり、グネグネと曲がりくねった通路となっており、様々なゲームに注目を集めるようにできている。

空間や通路自体は広いが、確かに筆者の印象でもそのようなカジノは多いように思える。

5.無料のホテル

一定以上の金額をカジノで利用する客であれば、場合によって宿泊費も無料になる。

もっとも、無料と言ってもそれだけお金を落とすのが前提であり、宿泊してもらう事で更にお金を落としてもらえる見込み(と効果)があるわけだが。

6.外界の視認の制限

「2.時間がわからない」のもそうだが、時計が無いだけでなく、入り口のガラス戸は色が塗られていて、外界の明るさは分かりにくい。

更に、明るい色のカーペットや昼間の空のようなデザインの天井など、夜遅いことを感じさせない造りになっている。

7.稀にしかないジャックポット発生時の効果

基本的にカジノで大当たり(ジャックポット)が起こることはまず無い。(それを期待して行くのは割に合わない。)

しかし、ごく稀に起こる大当たりの瞬間には、派手なライトや音、そして起こる大歓声など場を盛り上げる効果が沢山存在する。

他の誰かにジャックポットが発生した事により、正常な判断ができなくなることを狙うわけである。

8.戦略的なトイレの配置

カジノの中で唯一安堵できる場所がトイレであるが、それは大抵建物の奥深くに存在する。

トイレに向かう間に数多くのゲームコーナーの誘惑が存在し、元の場所に戻る場合も同じように各ゲームコーナーの前を通るので、せっかくの落ち着きも無駄になるという仕掛けである。

9.ロイヤルティプログラム

カジノで利用した金額の一定割合をポイントとして還元し、食事などがもられるロイヤルティプログラムを導入しているカジノも多い。

もっとも、リワードがもらえるまでチップに金を払った時点でかなりの金額を大損しているわけである。

参考文献

Business Insider, “9 tricks casinos use to keep you spending your money”, 9 Jun 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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