豚肉供給の安定化を模索するベトナム

先日の記事で、年末から需要増加が見込まれるベトナムの豚肉について、その供給を安定させる上で「農業、貿易、産業部門間の緊密な協力が必要」という農業・農村開発省(MARD)の担当者のコメントを紹介した。

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これに関してMARDは緊急会議を開催し、豚肉価格を安定化する方法が議論された。提案された内容は以下の通りである。

  1. ブタの輸出入の管理強化
  2. 生物学的安全基準に基づいて豚の頭数を増加
  3. ブタの体重を増やすため、より長期間にわたって飼育
  4. 代替品(魚介類、鶏卵、牛乳、鶏肉)の生産増加

これらの提案内容からMARDが重視しているのは養豚場の規模とアフリカ豚コレラの拡大可能性のトレードオフの中での落とし所の模索であると考えられる。

中国を中心に世界的にアフリカ豚コレラが拡大していることで世界的に供給不足が問題となっている。まず、ブタの輸出入管理を厳格化することで、これ以上の蔓延を防ぐことが重要であり、これは当然だろう。

ベトナムの場合はまだ供給不足という状態には至っていないが、これから年末・旧正月(テト)にかけて最大25%もの需要増加が見込まれる。

この時、需要増加分を賄う上で、養豚場を拡大して供給量を増やすのは供給不足に対する一般的な手法であるが、規模が拡大して頭数密度が高くなり過ぎると集団感染の確率が高くなる。ここで上記のトレードオフが関係してくる。

そこで頭数を増やすのではなく、より長い期間育てることで1頭当たりの重量を増やすという手法が出てくる。これから需要が増えてくるので、出荷まで時期が伸びても対応がしやすいという狙いだろう。

もっとも、豚肉に偏重したベトナムの食生活は構造上のリスクを抱える。代替品となる他の畜産物や魚介類などの生産・消費を増やすことは病害のようなリスクを分散させることにつながる。

参考文献:The Saigon Times, “Agriculture ministry convenes urgent meeting amid pork price upsurge, 19 Nov 2019

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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