アフリカ豚コレラが流行するベトナムでは9月までに500万頭以上の豚が殺処分され、供給不足が懸念されていた。(関連記事:ベトナムで豚コレラが大流行しているが、、、日本も他人事ではない)
しかし、ブルームバーグなどで指摘された懸念とは裏腹に、今までのところ目立った供給不足が発生していないようである。農業・農村開発省(MARD)は今後の需要増にも対応できるという見解を持っている。以下はMARDの家畜生産課のグエン・スアン・ドゥオン課長代理を発言をまとめた記事である。
来月以降の国内需要も満たせる豚肉供給(Vietnam+)
- 1kg当たりの国内豚肉価格は北部で65,000~66,000VND、南部で60,000~61,000VNDと安定的に推移(10,000VND≒46円)
- 一時的に75,000VNDに上昇したが、これは流通トラブルであり多くの地域に大量の豚肉が供給されている
- アフリカ豚コレラに対処するとともに家禽・牛・魚介類の生産を奨励しており総食料供給の不足の心配は無い
- 年末から旧正月テト(1月25日)の休暇にかけて最大25%の需要増が見込まれる
- 需要増に対応するために農業、貿易、産業部門間の緊密な協力が必要
補足
肉と言えば豚肉というのがベトナムであり、63の省・市の650箇所近くの7,700以上の自治体でアフリカ豚コレラが拡がり、500万頭以上の殺処分という言葉に筆者も驚いたが、初動が良かったのか総供給には大きな影響を与えておらず、供給不足という事態には至っていない。
但し、年末から旧正月にかけて25%も大幅に需要が増加する可能性が指摘されており、政府は対応に追われている。MARDはそれほど深刻な見方をしていないが、やや楽観的過ぎるようにも見える。
2019年12月18日追記
ホーチミン最大の総合商社SATRA(Saigon Trading Group)傘下の大手食品メーカーVISSANは、CPやエベレストなど大手豚肉サプライヤーと契約を締結し、旧正月休暇(1月25日まで)の豚肉供給を確保する見込みがたったことを明らかにしている。
鶏肉の生産者・流通業者による市の会議でも大手サプライヤーは20~30%の供給増に耐えうる用意があるとしており、豚肉だけでなく鶏肉や鶏卵供給も問題なさそうである。結果的にMARDの見方の方が正しかったと言える。
参考文献
Vietnam+, “Pork supply to meet demand on domestic market next months”, 18 Nov 2019
Vietnam+, “No shortages of fresh food are expected for Tet holiday”, 17 Dec 2019