薄いコーヒーの代名詞としての和製英語アメリカンコーヒーの時代ファーストウェーブから始まり、スターバックスなど豆に拘ったセカンドウェーブ、そして最近のブルーボトルを代表とする淹れ方にまで拘ったサードウェーブのコーヒーが浸透する中、米国家庭では一過性ではなく美味しいコーヒー(グルメコーヒー)を飲む文化が浸透しているという。
全米コーヒー協会(National Coffee Association: NCA)は、2019 National Coffee Data Trends (NCDT)の報告書をまとめたことを発表した。データの販売開始は3月14日からであるが、その概要についてプレスリリースが出たので紹介しておこう。
- 米国の成人63%が毎日コーヒーを飲み、消費量は2018年並を維持
- コーヒー消費のうち、グルメコーヒーの消費のシェアが61%に達する
- 若年層を中心に、家の中(朝食後)でも外でもコーヒーの消費が着実に増加
- 水出しコーヒー(Cold Brew)の認知度は80%
- 缶・ペットボトルコーヒー(Ready-To-Drink)の認知度は89%
- 誤った情報やカフェインによってコーヒーが有害だと考えている人が未だに多い
スターバックスやダンキンなどのコーヒーチェーンが目立つ中、一杯ずつドリップで入れるようなグルメコーヒーの消費が61%を占めるというのは、ブルーボトルなどの金額の高さもあるだろうが、それだけ家庭で本格的なコーヒーが飲まれている証左だろう。
筆者が特に驚いたのが、缶やペットボトルなどに入った「開ければすぐに飲める(Ready-To-Drink)」タイプのコーヒーの認知度が89%であり、これが「最近コーヒー市場に参入しては認知度は高い」と評価されていることだ。日本でなら自動販売機やコンビニなど、どこにでもこのタイプのコーヒーが存在するので、恐らく認知度がもっと高いと考えて良いだろうが、この辺りはマーケットの違いが浮き彫りであろう。
一方で、このレポートが発表されたNCAの年次総会では以下のようなネガティブな情報も報告されている。
- 家庭消費は全体の78%と高いが、2012年の84%から減少している
- 家計の状況が悪いという回答が6ヶ月前の11%から15%に増えており、外出先での消費が増えたのが要因
- 家計の悪化・経済の後退がコーヒー需要の伸びを鈍化させている可能性
コーヒー市場においても景気後退リスクが影響しているようであり、家計の悪化によって労働需要が増え、それによって外出時のコーヒー消費が増えたというわけである。
他にも、大麻成分であるカンナビジオール(CBD)入りコーヒーについての可能性・合法性についての認識などの設問も加えられており、非常に興味深い。
参考文献
REUTERS, “Americans drinking more gourmet coffee than ever before: survey”