IPOラッシュを迎えるタイ:但し選挙結果次第

2019年後半のタイは東南アジアで最大のIPOラッシュを迎えるといい、下半期だけで50億ドル以上集めることが見込まれている。

上場が予定されている企業のうち、特に規模が大きいものは以下の通りである。(金額は予想される資金調達額)

  • PTT Oil and Retail:20億ドル
  • Central Groupの小売部門:10~20億ドル
  • Asset World Corp(TCC Group子会社):10~15億ドル

PTT Oil and RetailはPTT(タイ石油公社)系列の小売事業者である。ガソリンスタンドやコンビニの他、タイによく訪れる人なら知っているだろうコーヒーショップCafe Amazonなどを展開する。

Central Groupは、セントラルワールドなど大型ショッピングモールの他、レストランやリゾートなど幅広く手がけるタイ最大の不動産コングロマリットの一つである。具体的にどの部門を上場させるかは不明確ではないが、主力の一つである百貨店事業が含まれるのではないかという見方が濃厚である。

TCC Groupは、オフィスビルやショッピングモール、ビール大手など買収に次ぐ買収で成長したタイの新興財閥であり、上場が予定されているAsset World Corpはその傘下のうちホテルなどホスピタリティ事業を手がける子会社である。

大型IPOが続くと予想されるだけあって東南アジア地域での注目度は抜群であるが、何よりもIPOの成否は未だ確定しないタイの総選挙結果次第である。

下院はタクシン派の勝利が濃厚だが、上院と合わせると軍政派が多数派になる可能性が高く、ねじれ状態が発生する可能性が高い。3月24日に総選挙が行われて以来、未だ「可能性が高い」と言っているのは、比例代表の議席数の算定方法に複数の解釈が浮上し、選挙結果が確定していないからだ。

選挙管理委員会は憲法裁判所に判断を求めたが不受理とされたため、5月9日までに選挙結果を発表する必要がある。しかし、選挙管理委員会が発表したとしても敗者側が裁判を起こす可能性が高いと見られており、政治の混迷化は必至である。

バーツも選挙前に高値を記録した後下落し続け、先日は1月以来の安値を記録しており、今後も状況が不明確である。IPOの活性化は選挙結果次第と言えよう。

参考文献

REUTERS, “Thailand set to be Southeast Asia’s hottest IPO market with $5 billion of planned second half floats”, 26 Apr 2019

newsclip.be「タイ総選挙、1カ月経っても議席数確定せず 法解釈で迷走」2019年4月25日

毎日新聞「タイ総選挙:軍政派最大勢力へ 政治、安定見通せず 上下両院ねじれ、王の威光減少」2019年4月26日

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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