米国における景気後退懸念とGoogleトレンド

CNBCが米国における不況シグナルを示す指標リストを公開していた。

  • 逆イールドカーブ
  • GDP成長率
  • 企業収益成長率
  • 製造業PMI
  • Cass Freight Index(北米貨物量インデックス)
  • 銅価格

個々のチャートや考察については元記事を見てほしいが、筆者が面白いと思ったのは「景気後退懸念が高まっている」という枕言葉代わりに使われていたGoogleトレンドのデータである。

以下は記事で示されたものと思われる、

  • ”Recession”の検索トレンド
  • 米国
  • 過去12ヶ月間
  • すべてのカテゴリ

のチャートである。

見ての通り、2019年8月中旬に入ってRecession(景気後退)の検索数が急増しており、いかに景気後退懸念が米国で高まっているかを示している。

CNBCの記事では12ヶ月に限定しているが、これをGoogleトレンドで可能な2004年以降で見ると更に面白い。

過去のピークは2008年1月で、2007年からの住宅バブル崩壊が問題になっていたからである。ご存知の通り、それでもマーケット全体的には楽観的な雰囲気があり、Recessionの検索数も減少する。そして、再度検索数が暴騰するのがリーマンショックがあった2008年9月となる。

筆者も様々なシグナルが危険性を訴えていることは分かっており、過去にも当サイトではレバレッジドローン問題などを取り上げている。

しかし、このチャートを見ても分かる通り、Recession(景気後退)懸念が高まったからと言って、一気にマーケットが崩壊するわけではなく、再び楽観的な状態に戻るのではないかと見ている。(危険なことには変わりない。)

現時点では米中貿易戦争などで悲観的なムードが漂っているが、これは政治的に引けないという側面もあり、2020年に総選挙を迎えるトランプ大統領としては、ある程度対中圧力を出し切ったら、今度は市場を支えるためのテコ入れ策を出してくるのではないか。

参考文献:CNBC, “Here’s a list of recession signals that are flashing red”, 2 Sep 2019

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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