インドの総選挙次第で投資環境は大きく変化

要約

  • 2019年4~5月にインドで総選挙が行われる予定
  • モディ首相率いる現与党インド人民党(BJP)の動向や状況を整理

「政権交代」は十分あり得る~インド総選挙まで3カ月、選挙「前」と「後」の協力に要注目(日本経済研究センター)

  • 小選挙区制であるがゆえ、前回2014年の選挙でBJPらの政党連合NDAが獲得した議席の半数はライバル政党の分裂で勝利しているが、第三勢力の得票率は39%をNDAの38.5%を上回るなど盤石ではない
  • 国民会議派UPAは選挙協力を模索する動きがあり、中小の地域政党との候補者調整や選挙後の連立の可能性があり、また政権交代の鍵
  • 実際、2018年末には3つの重要州議会選挙でBJPは敗北
  • 国民会議派ヴァドラ氏の夫の不正疑惑を蒸し返すリスク、カシミールの自爆テロに対するモディ首相のパキスタンへの強硬姿勢など、現政権にとっての追い風もある

選挙前の不確実性の中、外国直接投資の流入は落ち込む(The Economic Times)

  • 2018年4~9月のFDIは前年比7%減の335億ドルとモディ首相の就任以来初めて通年で減少の見込み
  • 最近の保護主義政策と総選挙結果の不確実性から数ヶ月間はFDIが低迷する可能性
  • BJPが勢力を失えば、野党が連立政権を組む可能性がある
  • 2月初めにAmazonやFlipkart(Walmartの子会社)など外資系オンライン小売業者の運営規制の厳格化などモディ首相の保護主義的傾向が強まっている
  • 商務省高官はFDI減少は一時的なものとする一方で、ベトナムなどのように外国投資の免税措置などの予定は無いと発言
  • 経済規模の大きさからインフラによるFDI流入など強気の投資家も一部存在する

解説

5年に1度のインドの総選挙が近づいてきた。現在の議席数はBJPら政党連合NDAが305議席(56.2%)、国民会議派UPAが66議席(12.2%)、その他第三勢力・無所属が172議席(31.7%)と過半数を持っているが、最初の記事の通り、前回の選挙戦はUPAと第三勢力のつぶしあいが発生したので、得票率(38.5%)以上に議席を獲得できたという背景がある。

与党BJPは選挙協力が苦手な傾向が指摘されるだけでなく、今回は野党と第三勢力の選挙協力の動きが見られ、BJPが議席を落とせば選挙後に連立政権が組まれる可能性も高い。

一方で、最近のカシミールで起きた自爆テロでは、

パキスタン領内に拠点を持つイスラム過激派が犯行声明。インド政府は事件へのパキスタン軍部の関与を主張し同国に対する最恵国待遇(MFN)を停止するなど、「選挙前」という要因を考慮してもかつてない強硬姿勢を見せている。有権者に隣国パキスタンに対する反発が高まり「強いモディ」へとなびけば、与党BJPにとっては追い風となる可能性もある。

日本経済研究センター(2019)

と指摘されるように、情勢がまだまだ分からない状態である。また、貧困問題が深刻なインドでは、2019年年の暫定予算案で「農民や零細企業労働者、都市部のサラリーマン層などに手厚い措置」を盛り込むなど、支持拡大のためのアピールも強い。

投資環境としては保護主義的な政策が目立つ与党が勝つかどうかで大きく変わる。筆者としても、中国の影に隠れて目立たないがインドの信用リスクもかなり高い状態にまでなっているので、大方の投資家のように様子見が無難であると考える。(戦争リスクも考慮しなければならない。)

参考文献

日本経済研究センター(2019)「「政権交代」は十分あり得る~インド総選挙まで3カ月、選挙「前」と「後」の協力に要注目」

The Economic Times, “Foreign direct investment inflows fall amid pre-election uncertainty”

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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