人民元安と中国の金輸入規制

チャートを取り上げるまでもなく最近は金価格が上昇している。強いて言うなれば、先月着目した通り、高すぎた金銀比価が大幅下落し、また上がり始めているというくらいである。

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金銀比価(2019年8月17日まで)
出典:GOLDPRICE.ORG

日本経済新聞は「<東証>金ETFが高い 「中国が金買い積極化」との声」といった今更感のある記事を出しているが、ここで注目したいのはロイターの以下の記事である。

参考:Reuters, “Exclusive: China curbs gold imports as trade war heats up”, 15 Aug 2019

ロイター通信によると、以前から金を買い漁っていた中国だが、米中貿易戦争による人民元安に歯止めをかけるために、5月から金輸入を抑制しているという。

2018年5月・6月の金輸入は157トン・199トンだったのに対し、2019年5月・6月は71トン・57トンと大幅に減少している。

また、記事では匿名の地金業者筋のコメントとして「現在、中国から出されている輸入割当ては殆ど無い」としており、7月以降は更に金輸入が減少している可能性がある。

中国が人民元安に歯止めをかけるのに手段を選んでいないのは、今月始めに論じた台湾への個人旅行停止における筆者の分析とも一致している。

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さて、ロイター通信の同記事で最も注目すべきは、最後に書かれた考察である。

Slowing global economic growth is pushing more institutional investors, particularly in Europe and North America, toward gold, traditionally seen as a safe place to invest, while central banks are buying at the fastest pace in half a century.

(筆者訳:世界的な経済成長鈍化によって、欧州や北米の機関投資家を中心に、伝統的に逃避先とみなされている金に資金が集まっており、中央銀行はここ半世紀で最速のペースで買い集めている。)

However, the cost of gold in China could rise if the surge in recycled supply fades before import restrictions are lifted, and supply could rapidly exceed demand outside China if institutional investors slow their purchases.

(筆者訳:しかし、輸入制限解除前に急増していた再利用地金供給が途絶えれば、中国の金コストが上昇しうる。それに伴って機関投資家が金買いを渋れば、中国の供給が中国外の需要を急激に上回る可能性がある。

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