植民地やビジネス、文化、学問など様々な理由でシェアを拡大する言語が存在する。国際語としての英語、人口の豊富さから注目される北京語・ヒンディー語・アラビア語、植民地の歴史から話者が広いスペイン語など数億人以上の話者が存在する言語がいくつか存在する。フランス語も植民地的な理由でアフリカに拡がっているのだが、単純に話者が増えているわけではないようだ。
なぜフランス語の未来はアフリカ語なのか(BBC)
- 植民地の歴史により、アフリカの20ヶ国でフランス語が公用語である
- フランス語の話者は世界に3億人(2014年から10%増)おり、そのうち44%がサハラ以南アフリカに住んでいる
- 2050年にはフランス語話者の85%がアフリカ大陸に住んでいると予想
- 「高い出生率」と「フランス語圏の周囲のアフリカ諸国の人もフランス語を学ぶ傾向」が理由
- アフリカの大半の人にとってフランス語は第二言語または第三言語の役割を果たしている
- 現地の言葉や英語、アラビア語など様々な語彙を吸収しながら急速に変化し、ポリグロッツ(polyglots)の様相を示している
補足
CFAフランといった通貨が使われている西アフリカなどフランスの旧植民地でフランス語が公用語であるのは自然だが、それに倣って周囲の国の人もフランス語を習得し、今やフランス語がアフリカ大陸の共通語となりつつあるのは非常に興味深い。地球最後のフロンティアと言われるアフリカ大陸において、ビジネスや投資での進出を検討するなら、フランス語が重要になるかもしれない。
しかし、その拡がり方は単純な方言にとどまらず、様々な言語の表現を吸収しながら多様な変化を遂げているようである。
例えばカメルーンでは、to wonder(怪しむ)という英語から取って名付けられたゴシップ誌Je wandaが”I wonder.”(不思議だ)や”I can’t believe it.”(信じられない)といった意味で使われている。
フランス語の変化はアフリカ大陸だけの話ではなく、フランスのティーン・エイジャーは会話を始める時に”wesh?“という表現を使うことが多くなっているという。これは英語でなら有名な”Whats’ up?”(最近どう?)に対応する表現だが、このwesh?という表現は北アフリカで使われる表現で、フランス語の若者も知らず知らずのうちに移民の影響を受けているという。
こうした急速な変化に懸念を示すフランス語関連のアカデミーも多く存在し、連携して「各」フランス語の関係をつなぎとめるために各地で教育を行ったり、ルワンダのようにフランス語が公用語の国で英語を公用語に昇格させるなど、様々な取り組みも起こっている。しかし、この流れは簡単には止まらないように思える。
参考文献
BBC, “Why the future of French is African”, 8 Apr 2019