報道によると、ベトナム初の自動車メーカーであるビンファスト(VinFast)が米国でのIPOを検討している。ベトナム最大の不動産コングロマリットであるビングループ(VinGroup)のグループ会社である同社は、2017年に設立されたばかりだ。20億ドル規模のIPOとなると見込まれており、実現すれば米国に初めて上場するベトナム企業であり、ベトナム最大のIPOにもなる。
参考:Bloomberg, Vingroup Said to Weigh $2 Billion U.S. IPO of Unit VinFast, 12 Apr 2021
同社は元GMの副社長を社長として迎え、イタリアのピニンファリーナにデザインを任せ、BMWライセンスのエンジンを供給するなど、世界に名だたるメーカーの技術や元人材の協力を得ながら急速な成長を目指している。当面はベトナムでのシェア3割を目指しており、電気自動車にも力を入れている。EVに関しては渤海との事業提携を目指しているという報道もあった。
参考:ベトジョー「ビンファスト、EV事業で台湾鴻海と事業提携か」2021年3月23日
同社はコロナの影響で幻となったF1ベトナムグランプリの冠スポンサーであり、2021年も国内の問題でベトナムグランプリの開催は見送られたが、いずれはベトナムグランプリが開催されるだろうし、筆者は将来的にモータースポーツへの参戦の可能性も高いと考えている。
ビンファストのIPOが期待できるのは、VinGroup傘下という同社の資金力である。VinGroupは小売部門を整理するなら事業改革を行う中で、特に力を入れているのが自動車事業である。今後の電気自動車普及の流れで一気に勝負を仕掛けるというのは悪くないタイミングであり、ベトナム経済の好調さを考えれば好条件が揃っている。