豆腐と豆冨の転換

豆腐には「腐る」という感じが使われているので、昔は良いイメージで表現するために「豆富」とか「豆冨」といった表記を使うケースが多かった。しかし、最近はその傾向が違うようだ。

この記事を書こうと思った契機は、NHKのガッテンで知らずに買ってる!?激うま“第3の豆腐”とはという内容を放送するという予告を見たからだ。この後、2021年4月14日(水)午後7時30分から放送されるようである。

木綿や絹ごしだけじゃない!?今や売り場には“第3の豆腐”がた~くさん。でも、なんとなく使っていると、その真価は味わえないんです。魅力を最大限に引き出すべく、京都の豆腐店のおかみさんが編み出した“まさかのワザ”とは?いつものマーボー豆腐や肉豆腐が“トロふわ”の新食感に大変身しちゃいます!さらに、材料の「豆の違い」までわかる小学生“豆腐博士”が登場!?職人の手作りならではの魅力も再発見。思わず次の日に豆腐が食べたくなっちゃう耳より情報をドーンと大公開します!

出典:NHKガッテン「知らずに買ってる!?激うま“第3の豆腐”とは」

「第3の豆富」が何を指すか名言されていないので、確かな事は言えないが、恐らく分類上の「木綿豆腐」「絹ごし豆腐」以外のものを指すのだろう。

以下は全国豆腐連合会による豆腐の分類だが、「豆腐」において、木綿豆腐と絹ごし豆腐以外には「充填豆腐」と「寄せ豆腐」がある。この中で、どちらかと言えばスーパーでよく売られていて安いのは充填豆腐である。

充填豆腐は、以下のように冷やした豆乳と凝固剤を容器に充填し、加熱して凝固させる機械生産に向いた豆腐である。

絹ごし豆腐と同様ななめらかさがあり、充填絹ごし豆腐とも称しています。製法は、豆乳を一旦冷やし、凝固剤と一緒に1丁づつの容器に注入(充填)・密閉し、加熱して凝固させます。豆乳を冷やすのは、熱いとすぐ凝固し容器への充填に不便なためです。(中略)この豆腐の製法は機械化による流れ作業の大量生産に適しており、戦後機械化の進展に伴い生まれた豆腐です。 また、豆乳充填・容器密閉後、加熱凝固させるので、その間殺菌が行われるため、日持ちの良いのも特徴です。

出典:全国豆腐連合会「充填豆腐」

そして、この分類以外に全国豆腐連合会は、「とうふの表示に関する公正競争規約」で「豆腐の定義」を策定している。「施行規則第1条」では大豆固形分や添加物などから、「とうふ」「調整とうふ」「加工とうふ」に分類している。「とうふ」は主に、大豆固形分が10%以上、大豆・凝固剤・水のみで製造されているといった定義である。「調整とうふ」は大豆固形分が8%以上で、凝固剤以外の添加物が含まれるといった定義のようだ。

参考:全国豆腐連合会「施行規則第1条 別表」(PDF)

この策定による表示が浸透すれば、大豆固形分が少なく、混ぜものがある安い豆腐は、単純に「豆腐」と名乗れなくなる。牛乳に対して様々な名称があるのと同じである。

しかし、株式会社篠崎屋<TYO: 2926>が手掛ける豆腐屋「三代目茂蔵」を覗いてみたところ、豆腐の場合は少し状況が異なるようである。(ここが金融メディアとしてのポイントである。)

混ぜものがなく、高い絹ごし豆腐などは「○○豆腐」といった商品名がついているのに対し、安い豆腐(特に充填豆腐)に対して「○○豆冨」といった商品名がついている傾向が見られた。元々、三代目茂蔵は「豆腐」を「豆冨」と表現することを特徴としていたが、最近訪れてみると、「豆腐」と表記する製品が増えており、そこに違いが出てきているのではないかと考えている。

これはまさしく、従来「良いブランドイメージ」として「豆冨」と表現されていたのに対し、真逆の状況になっている。これが、表題の「豆腐と豆冨の転換」の意味である。

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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