まだ決まらない。
フィナンシャル・タイムズによると、サウジアラビアは国内での新型コロナウイルス感染者数が10万人を突破したことを受け、7月下旬のメッカ大巡礼(ハッジ)を中止することを検討していると報道した。
ハッジが中止される可能性については当サイトでも2月に指摘していた。ハッジは政府にとって重要な観光収入であり、毎年200万人以上が外国から訪れ120億ドルの外貨をもたらす。原油価格が低迷していたので、まさに踏んだり蹴ったりの状態であった。
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そして、サウジアラビアの決定が遅いのに痺れを切らしていたのが、最大のメッカ巡礼派遣国であるインドネシアやマレーシアである。今年はインドネシアだけで23万人の巡礼者が登録されており、インドネシア政府は5月下旬の時点で早期の決定を要求していた。
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大巡礼はイスラム教徒にとって一生に一度は行うべき義務であるが、「負債がないこと」と「旅費と旅中の家族の生活費を賄えること」が巡礼を行うための必要条件の一部だが、これおサポートするためにインドネシア政府やマレーシア政府は巡礼基金を作り、国家として巡礼者の移動や保険契約などを行っている。
インドネシア政府はこれら手続きの時間に間に合わないとして今年は巡礼をキャンセルすると通達した。マレーシアやシンガポールなども遅れて同様の決定をしている。
サウジアラビアの大巡礼を中止するかは1週間以内に決定されると見られているが、巡礼者が多い国のキャンセルが相次ぎ、残りの期間を考えれば、ほぼキャンセル以外のオプションがなくなってきている状況だと言えよう。