タイ人の40%が都市封鎖を希望

タイは暑いということもあって新型コロナウイルスが弱体化しやすい環境である。しかし、過密な都市、過剰な冷房、外食文化などもあり、(検査数が増えたこともあるが)過去1週間で感染者数は急増している。3月15日時点で75人だったのが3月24日時点で827人となっている。人口100万人当たりの感染者数は12人と比較的少なく(日本は9人)、重症者は7人、死者は4人(死亡率0.48%)とよく抑えられている。病院に人が殺到しているという情報も今のところ入ってきていない。

それでもソンクラーン(タイの正月)の休日が延期されたり、非常事態宣言がなされたり政府としては(タイで非常事態が宣言されることは珍しくはないものの)かなりの警戒感を持っていることが分かる。

それはタイ国民にとっても同じであるようだ。Suan Dusit Pollが3月17~21日に1,457人に対して行った世論調査では、タイ人の41.04%が都市封鎖(ロックダウン)を希望するなど急進的な対策を求めている実態が伺える。

まず、現在の状況を深刻に捉えている人が86.68%いる。観光・貿易・投資の損害、給与減・解雇など経済的な損失だけでなく、衛生状態やメンタルヘルスに至るまで大きな悪影響があると考えている人が多い。残りの13.32%は、健康状態や人前に出る時に注意したり、適宜ニュースを見るなど何らかの影響はあるが、そこまで心配しすぎるべきではないと考えている。

次に、どのような不安を抱えているかについては、

  • 非常に心配(48.73%):感染力が強いこと、家族が感染すること、薬が無いこと
  • やや不安(45.30%):病院の医療従事者が足りないこと
  • あまり心配していない(5.08%):マスクや手洗いをすれば良く、致死率がそれほど高くない
  • 不安ではない(0.89%):混雑した場所に行かない上、予防策が存在する

と、感染力の強さや潜在的な医療への心配が多い。この辺りはどの国でも同じだろう。

どのような予防法を取っているか(複数回答)については、

  • 62.56%:石鹸での手洗いやアルコールでの除菌
  • 54.44%:外出時のマスク
  • 52.62%:危険な地域に旅行しない、懇親会に参加しない、人混みを避ける
  • 17.35%:個人のスプーンを使い、新鮮で清潔な食品を食べる
  • 12.81%:病院に近づかない、咳・くしゃみをする人から離れる

といった結果だった。タイでは基本的にフォークとスプーンを使って食べ、多くの屋台や食堂などでは金属のものが備え付けてある場合が多い。そうしたものを使わずにマイスプーンを使うということだろう。それ以外は特段驚くべき内容ではない。

そして最後が、政府に対してどのようなアクションを求めるかについてだ。

  • 41.04%:国と都市の閉鎖
  • 38.62%:医師と看護師に十分な医療機器と病床の確保
  • 22.03%:マスクやアルコール、消毒剤の価格を管理し、徹底的に行き渡らせる
  • 16.08%:感染者の追跡や対策を厳格に行い、違反者に罰則を適用
  • 14.61%:事実や予防法についての状況報告書

ロックダウンだけでなく、マスクなどの価格コントロール、感染対策への違反者への罰則など、かなり急進的な対策を求めている人が多いことが伺える。

不安を感じる人が多く、不安に感じる点、有効と考えている予防策、付随する問題(マスクの転売など)はどこの国でも共通しているようだが、政府に対する要望は日本とは大きく異なるような気がする。しかし、気がするだけなので、日本のマスコミも同様の世論調査をしてくれはしないだろうか。

参考文献:Suan Dusit Poll, โควิด-19 กับคนไทย, 22 Mar 2020(PDF注意)

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金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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