要約
- 両議院の構成上、非常事態宣言集結決議の可決は難しい
- 可決されたとしても拒否権が発動され、それを覆すのは更に困難
- 2種類の訴訟オプションがあり、片方は時間稼ぎの効果が大きい
トランプが国家非常事態宣言を宣言した今、次に何が起こるか(ZeroHedge)
- 両院の勢力上、議会で非常事態宣言を止めることは困難
- トランプも恐らく非常事態宣言の終了決議を拒否できる
- 民主党は下院で「非常事態宣言への異議申立て」もしくは「独自訴訟」を起こすオプションを持つ
解説
トランプ大統領は予算を承認した事に続いて国家非常事態を宣言した。予算案にはメキシコとの国境の壁に関して十分な壁建設予算が盛り込まれていないが、予算を通さないと再び国家機関が閉鎖してしまうからだ。一方で公約実現の為に議会の承認を回避して壁建設予算を確保するために非常事態宣言を行うという形である。
但し、議会で非常事態宣言を集結させるには、両院で過半数の賛成が必要だが、民主党が過半数で議席を持つ下院はともかく、(共和党員にも反対議員はいるが)上院での可決は非常に難しい。
例え非常事態宣言集結決議が通ったとしても、大統領には拒否権が存在する。その拒否権を無効にするには今度は両院で2/3以上の賛成を得なければならないので、こちらは絶望的である。
となると、民主党は記事の通り下院で「非常事態宣言に対する異議申立て訴訟」か「独自訴訟」を行うのが有力である。後者の場合は「下院が訴訟の代表たる法的地位があるか否か」の判断がくだされることになる。というのも、「どうせ裁判官に却下されるかもしれない」ということであれば訴訟提起が無意味ということになるからだ。しかし、いずれにしても法定にトランプをしばりつける効果があるので、時間稼ぎにはなるというのが著者の見方だ。
参考文献
ZeroHedge, “Now That Trump Has Declared A National Emergency, Here Is What Happens Next”
BBC「トランプ氏、非常事態を宣言へ 国境の壁建設費用の確保のため」