要約
- 香港は喫煙に対する規制が厳しく、この度電子タバコの規制案が提出された
- 電子タバコ利用者が将来の喫煙者になるのを阻止するのが目的
- 電子タバコの長期的なデメリットが不明確で、国によって対応は大きく異なる
香港で電子タバコの全面禁止を推進する法案を提出:6ヶ月以下の懲役と5万香港ドル以下の罰金(South China Morning Post)
- 禁煙法の改正案が提出され2月20日に審議開始
- 上記の刑罰は電子タバコの輸入・製造・販売・流通などをした者が対象
- 税関職員にも貨物や旅行者を調べる権限が与えられる
- 非喫煙者が若者が代替製品に魅了され、本物のタバコの喫煙者になることを阻止することが法案の目的
- 電子タバコの販売は世界30以上の国で禁止される一方で、40以上の国で許可されている
- 寧ろ普通のタバコの喫煙者に戻るのではないかという意見も多い
解説
香港は喫煙に対する規制が厳しく、1982年に禁煙法が制定されて以降、住宅や喫煙区域など一部認められた場所以外では喫煙が禁止され、違反者には5000香港ドル(約7万円)の罰金が課される。その甲斐もあって喫煙率は11%と米国並(11.4%)の低さ(日本は19.3%)である。
電子タバコは「普通のタバコより悪影響が少ない」という触れ込みで推進されており、禁煙補助として利用する人も多い一方で、「若年層の喫煙へのハードルを下げるのではないか」という理由から今回の法案が提出されている。
アメリカもほぼ同様の理由で2018年11月にフレーバー付き電子タバコの規制検討が発表されてブリティッシュ・アメリカン・タバコ株などが暴落したことは記憶に新しい。
世界的にタバコへの規制が進んでおり、喫煙者も減少する過程でタバコ業界もM&Aや電子タバコへのシフトが進みつつあるが、本当に安全かどうかは現時点では分からないのが実情だ。
確かに、
- 癌などいくつかの疾病リスクを引き下げる
- 禁煙に効果がある
という報告が存在する一方で、
- 将来的な喫煙者を増加させる可能性
- 癌など普通のタバコで生じる疾病以外の疾病リスクを増大させる可能性
も指摘されており、そのデメリットについては長期的に調査しなければ分からないと言われる。(WSJ)
こういった点から電子タバコを推進する国と禁止する国で二分している実態があるので、タバコ銘柄はディフェンシブ銘柄とも言われる事が多いが、海外の情勢には注意していかなければならない。
参考文献
Wall Street Journal, “電子たばこのメリット、デメリットより大きいか”