要約
- イリノイ州のカジノ投資に良い効果が出ておらず、カジノによる税収は減少傾向
- 一方で若者を中心にスキルゲーム市場が伸びており、そこからの税収は大きく伸びている
- 既存のカジノ事業者にとっては、まだカジノが無い日本は良い投資先として注目されている
ミレニアル世代と市場の飽和により新しいカジノの推進に疑問が投げ掛けられています(BGA)
- イリノイ州は積極的に新しいカジノに投資しているが、カジノによる歳入は2005年をピークに13年間で61%減少した
- 一方で若者はスキルゲーム(ビデオゲーム型のギャンブル)に多くのお金を落としている
- 新規カジノの投資は既存施設との採算性を残っているだけで効果は薄い
- これを理由にシカゴでのカジノ開発に疑問の声が多くあがっている
解説
税収の確保のために公営カジノを設立するというのはアメリカでは多く行われている事だが、イリノイ州のレポートで、その効果があまり無いどころかコストばかりが掛かっているという報告がなされた。
下図を見て分かる通り、イリノイ州のカジノ収入は2005年の約7億ドルをピークに、2018年には2.7億ドルにまで減少している。
一方で増えているのはビデオゲーム(要するにアーケードゲームなどモニターでプレイするテレビゲームなどのこと)による賭博収入だ。実は最近の欧米では、従来のスロットやルーレットなどの運の要素が強い賭博に対し、格闘ゲームやシューティングゲームなど技術の要素が強い「スキルゲーム」をギャンブルに取り入れる動きが強い。これは昨今のe-sportsの流行とも関連し、主に若者(記事でいうミレニアル世代)を中心に受け入れられている。
若者はスキルゲームを専ら「オンライン」カジノでやっているわけで、そこからのギャンブル税が増えているので、結果的にピークの2005年に近い税収を記録している。イリノイ州もカジノや飲食店にビデオゲーム端末を置いているようだが、そこからの収益はあまりなく、やはりカジノ自体の効果は小さく、既存のカジノと売上を取り合っているだけという話である。
こうした店舗型のカジノの市場飽和は世界的に見られる現象であり、だからこそギャンブル大国と言われる日本に「初めて作るカジノ」への投資に海外から注目が集まっているとも言える。
参考文献
Commission on Government Forecasting and Accountability, “Wagering in Illinois 2018”(PDF注意)