フィナンシャルエンジニアリング解説3:連続複利と自然対数(4.2)

シリーズ記事一覧はこちら

本稿では、『フィナンシャルエンジニアリング:デリバティブ取引とリスク管理の総体系』(第9版)より第4章「金利」より、連続複利を使う理由と自然対数eが出てくる理由を解説する。

複利と聞いて分からない投資家はあまりいないと思うが、連続複利となると立場によって馴染みの深さは異なるだろう。

以下が投資金額をA、年m回の複利、年利率Rでn年間投資した場合の最終価値である。m=1なら年1回利回りがあり、m=2なら半年複利である。

$$A{ \left( 1+\frac { R }{ m } \right) }^{ mn }\tag{4.1}$$

年m回複利だと離散的に金額が増えていくので、解析的には連続的に扱った方が便利なことが多い。だから本に書いてある通り、このmを無限大にして、なだらかに金額が増えていくようにしたのが以下の連続複利である。

$$A{ e }^{ Rn }\tag{4.2}$$

実務上はこれだけ知っていれば十分なのだが、ネイピア数eに馴染みの無い人向けに補足すると、以下のようにmを大きくしていくとネイピア数e≒2.71828…に収束するので、最終的に(4.1)のようになる。

$$e=\lim _{ m→\infty }{ \left( 1+\frac { 1 }{ m } \right) } ^m$$

参考文献

ジョン・ハル『 フィナンシャルエンジニアリング:デリバティブ取引とリスク管理の総体系 (第9版)』 金融財政事情研究会

About HAL

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

View all posts by HAL →