世界的に異常気象が頻発している。日本ではインドの熱波についての報道が多いが、東南アジアではタイが深刻な干ばつが問題となっている。それはタイ国内だけの問題ではなく、同じ東南アジアのベトナムでも注目されており、毎日のように報道されている。
タイ:メコン川の水位が10年間で最低レベル(Vietnam+, 2019年7月15日)
- 昨年同時期は13m以上の水位が上がった場所で昨年よりも2.6m水位が低い
- 東北部ナコンパノム気象台の観測では、昨年の平均降水量は300mmだったのに対し、今年は90mに留まる
- 雨季にも関わらず少ない降水量によって干ばつが深刻化し、メコン川支流も水量が20~30%にまで低下
タイは迫りくる干ばつを警告(Vietnam+, 2019年7月17日)
- 北部から中央平原まで主要な作物栽培地域では降水量が平年を大幅に下回る
- 台風も例年よりも弱く、8月下旬から9月上旬まで大雨が期待できない可能性がある
- 一部地域では閉山した鉱山から水道水を精製する計画もある
タイは干ばつ対策を更に強化(Vietnam+, 2019年7月18日)
- 王立灌漑局は、家庭の水供給を確保するための救済措置を発表
- 灌漑事務所や水力発電所に水管理計画の厳守を指示
- 水ポンプや給水車などの配備を当局に指示
- 灌漑局によると、雨が降らなければ30日以内にタイ最大のPasak Jolasidダムも枯渇する
補足
かなり深刻な状況であることが一連の記事から伝わる。
生活用水や農業用水は勿論、タイでは重要な電力供給源である水力発電所にも影響が出ていると見られ、電力会社株など株式市場にも非常に大きな影響を与えるとみられる。
勿論、米など農業も盛んなタイでは食品加工など輸出面でも市場が大きく、想像以上に影響が大きいことに注意したい。
参考文献
Vietnam+, “Thailand: Mekong water level drops to lowest level in 10 years”, 15 Jul 2019
Vietnam+, “Thailand warns of looming drought”, 17 Jul 2019
Vietnam+, “Thailand takes more measures to prevent drought”, 18 Jul 2019