米国におけるクレジットスコアは、クレジットカードの作成やローンを組む場合に使われる数値だが、今や 就職や結婚などあらゆる社会活動に関わる個人の社会的評価軸である。
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消費者・企業の信用調査報告およびマーケティングサービスを手がけるexperianは、与信状況調査に基づいて州別の平均クレジットスコアを公開している。
以下は、そのデータをCNBCが再構成したものである。4色で分けられており、青色が濃いほど平均クレジットスコアが高い。地図上をマウスオーバーすると、
- 州の名前
- 平均クレジットスコア
- クレジットカードの平均保有枚数
- クレジットカードの平均残高
が表示される。
660-759点が「一般層」に属するスコアで、全米平均は
- 平均クレジットスコア:675
- クレジットカードの平均保有枚数:3.1枚
- クレジットカードの平均支払残高:6,354ドル
である。
全体的に北部(及び東部の一部ニューヨーク州など)のクレジットスコアが高く、南部が低い。人口が多い東部と西部は中程度である。平均スコアが最も高いのがミネソタ州の713で、最も低いのがミシシッピ川の652である。
クレジットスコアが低いからと言って平均保有枚数が多いというわけではなく、日本の多重債務者のような傾向とは少し違うようである。どちらかと言えば平均残高に違いがあるようだ。
レポートによれば、やはり「クレジット利用率(クレジットカード利用額/クレジットカード限度額)」に大きな違いが現れるようだ。一般的にクレジット利用率が30%を超えるとデフォルトリスクが高まり、クレジットスコアが下がるようである。
南部が低いのは歴史的なもので、経済的環境・文化的環境の両方が関係しているとみられている。
平均残高の多さを見れば、米国の文化的な差異を感じる。一般にクレジットスコアを上げるには「クレジットカードの継続的な利用と適切な支払い」が必要であり、ある程度利用する必要もあるが、基本的に生活の支払いの多くがクレジットカードが完結していることが特徴だ。
米国の記事を見ていると”live paycheck to paycheck”という表現をよく目にする。「給料ぎりぎりの暮らしをする(その日暮らしをする)」という意味である。米国では”live paycheck to paycheck”をする労働者が78%とも言われている。
なので、ある程度安定した給与を保証しているはずの米国政府機関職員で、政府機関が一時的に閉鎖されただけで生活に困窮してしまう人が出てくるのだ。
参考文献
experian, “State of Credit: 2017”, 24 Oct 2018
CNBC, “This map shows Americans’ average credit score in every state”, 22 May 2019