つい先日まではエルニーニョ現象の発生が懸念されていたが、最新の予想ではやや懸念が和らいだようである。
3~5月は恐らく弱いエルニーニョの状態(BusinessLine,2019/2/22)
- インド気象局(IMD)は弱いエルニーニョの状態が短期間続くと予測
- エルニーニョがモンスーンの降雨量を抑制する傾向がある
- オーストラリア気象局も同様の見方で、3~5月の発生確率が50%
- アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると同期間の発生確率が55%
インドのモンスーン期にとって重要なエルニーニョの脅威が弱まっています(Bloomberg,2019/2/25)
- 民間気象予報士Jatin Singh氏は今年のインドの降雨が通常である確率が50%以上と予測
- モンスーンはインドの年間降水量の70%以上を供給し、農業部門において重要
- 降雨量が多すぎても少なすぎても収穫に大きな影響を与える
- インドは米と小麦の生産量が世界第2位、綿花の生産量は世界第1位
解説
実際、オーストラリア気象局は3~5月の見通しを「警戒」から「監視」に格下げしている。但し、同局は1月下旬から2月下旬に行われた予測は他の時期に行われた予測よりも精度が低い傾向があると注釈をつけている。実際、依然として多くのモデルは年後半も弱いエルニーニョ現象の発生を予測しており、5月以降の状況については現時点では分からない(少なくとも3~5月は弱いエルニーニョの状態が続く可能性が高い)という程度である。
エルニーニョによるインドの降雨量の抑制(或いはラニャーニャによるインドの降雨量の増大)は相関関係が示されているが、必ずしも一致するとは限らない。しかし、インドは米・小麦・綿花の生産量が非常に多いので、発生によって降雨量が平年から大きく外れると、商品価格に大きな影響を与えかねないので注意が必要である。
参考文献
BusinessLine, “Weak El Nino conditions likely from March to May”
Bloomberg, “El Nino Threat Is Fading to India’s Critical Monsoon Season”