なぜ日本ではFAANGではなくGAFAなのか

米国の代表的なIT企業をまとめた略称にGAFAだとかFAANGという呼び方がある。

日本ではGAFA (Google, Amazon, Facebook, Apple)が使われることが多いが、FAANG (Facebook, Apple, Amazon, Netflix, Google)が使われるケースは少ない。それは何故なのかという考察が当記事である。

GoogleトレンドでGAFAとFAANGの検索トレンド(12ヶ月、金融カテゴリー)を調べると興味深い違いが出てくる。(金融カテゴリーに限定したのは、GAFAは同音異義語が多く単純に比較できないためである。)

まず、世界的に見ればここ1年で見れば、最近でこそGAFAもFAANGも検索数は同程度だが、それ以前はFAANGの方が優勢だった。

地域別にどちらが優勢かを見ても、米国を始めとしてFAANGが主流である。先進国でGAFAが圧倒的なのはフランスと日本くらいである。スペインなどもGAFAの方が多いが、拮抗しており薄い青色となっている。

実際、米国の検索トレンドを見れば、FAANGが圧倒的でGAFAは相対的に見てかなり少ない。

一方で日本だと真逆の傾向があり、GAFAでの検索が殆どである。

さて、日本でGAFAばかりが取り上げられ、FAANGがあまり取り上げられないのはなぜか。

Wikipediaには

日本においてこの語句は、2016年頃より経済産業省の報告書で頻繁に使用されるようになり、2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた。

Wikipedia「GAFA」

と書かれている。経済産業省が報告書で取り上げ始めた時点ではFAANGという用語は無かったが、日本で流行した2018年時点では米国ではFAANGの用例が既に多く増えている上、以前からAppleを含めないFANGという用語は広く使われていた。(下図は米国における過去5年間のFAANGの検索トレンド。)

結論が遅れたが、日本でFAANGが無視されるのはマスコミの影響だと思われる。結局、GAFAとFAANGの違いはNetflixがあるか否かである。

日本のマスコミ(特にテレビ)にとってNetflixは顧客を奪うだけの敵である。敵を自ら宣伝するような真似はしないはずだ。新聞社とは直接は競合しないが、多くの大手大衆紙はテレビ局と同じグループに属するので、その傾向は顕著である。

以下は、主要5紙(日本経済新聞、産経新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞)のオンラインサイトにて、FANGおよびFAANG、GAFA(それぞれ全角・半角・表記ゆれ)の記事検索でかかった記事数(FANGなどは人名など無関係なものを除外)とその比を示している。

主要5紙のオンラインサイトでのFANG、FAANG、GAFAの記事検索結果数
(2019年8月31日現在)
出典:筆者作成

日本経済新聞は、経済紙であることもあるだろうが、テレビ局と無関係なので、FANGとFAANGの記事数は、GAFAの記事数に対して43%の比率である。

しかし、テレビ局と関連する他の4紙は、GAFAに対してFANGとFAANGの記事が異様に少ない。

読売新聞を除いて全く取り上げていないわけではないので、用語を知らないとは言えない。恐らく、意図的にGAFAを優先して取り上げていると考えられる。

もっとも、こうした用語にも流行り廃りがあり、米国でもAAA(Alphabet、Apple、Amazon)やら、Netflixを除外してMicrosoftにしたFAAMGなど相場の状況に応じて色々と使われる。

今後どうなるかはわからないが、現時点でFAANGが殆ど無視されているのはマスコミの影響が大きいと考えられる。

       

この記事の著者 HAL について

金融・マーケティング分野の機械学習システム開発や導入支援が専門。SlofiAでは主に海外情勢に関する記事、金融工学や機械学習に関する記事を担当。

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