筆者はコンビニの少額決済であっても、クレジットカードを使える場所では極力利用する。
- ポイントがつく
- 小銭を多く持ち歩くのが嫌い
- (最終的に領収書を見るとは言え)クレジットカードの明細は行った支出に一覧性があって便利
といった利点があるからだ。少額決済ならサインや暗証番号を求められないケースも増え、以前に比べれば決済時間も短くなった。
それはさて置き、「クレジットカード先進国である米国では少額決済けでもクレジットカードを使う」という迷信がある。
例えばクレジットカードのアフィリエイトを行っているサイトでは以下のような記述がある。
アメリカや中国、韓国など世界に目を向ければ、少額決済にクレジットカードを使用することの方が今や主流なのです。
ナビナビクレジットカード
クレジットカード先進国では、小銭を持ち歩いて買い物をするというのはむしろ少数派です。
https://navinavi-creditcard.com/small-sum-2295
上記のようなサイトではクレジットカードのメリットを過剰に強調する傾向があるからとも言えるが、こうしたイメージが定着しているのは否定しない。筆者も昔はそう思っていた。
しかし、クレジットカードについて広範な調査研究や情報提供を行っているCreditCards.com(WSJやCNBCでもよく引用されている)の最新調査によれば、米国では10ドル未満の少額決済においてはクレジットカード決済を利用する割合は16%に留まるという。
もっとも、少額決済でもクレジットカードを利用する割合は増えている。以下は、リワード(ポイント、キャッシュバック、マイル)があるクレジットカード保有者が少額決済での支払い方法の推移である。2019年調査においては26%が少額決済にクレジットカードを利用するに至っている。
現金利用の割合が減っているが、同時にデビットカード決済(31%)も増えているので、決して「米国では少額決済でもクレジットカード決済が主流」とは言えない。
では、米国でも少額決済ではクレジットカードがそれほど使われない理由は何か。その理由については同調査では以下のような結果となった。これは「リワード付きクレジットカード保有者」の回答である。(上位4つ)
- 少額決済では現金やデビットカードでの決済の方が手軽(40%)
- クレジットカードの負債に関する懸念(24%)
- 店舗が課す「少額決済時のクレジットカード利用手数料」(14%)
- リワードのメリットが無い(11%)
1の理由は分かるが、2と4はクレジットカード負債が深刻な人が多い米国ならではの理由だろう。
2は、「クレジットカード利用限度額がいっぱいなため、少しでもクレジットカード利用を抑えなければならない」といった理由や「クレジットカード負債を抱えすぎている」といった理由である。
「リワード付きクレジットカード保有者」なのに4の「リワードのメリットが無い」とはどういうことか。これは「クレジットカードの金利がリワードを上回っている」ということのようだ。
クレジットカードは1回払いが当然という多くの人にとっては信じられない結果だが、残念ながら米国ではクレジットカードで借金を積み重ねている人は信じられないほど多い。
以上のように、米国であっても少額決済ではクレジットカードは主流とは言えないのである。