5月5日、ベトナムで初となるプレスセンターThe HCMN Press Centerが稼働した。記念式典には人民委員会委員長や人民評議会会長など多くの行政首長が参加し、ホーチミン情報通信局副所長Tu Luong氏がセンターの所長に任命された。
都市運営に関する情報の提供、報道関係のサービスの提供、全てのレベルの都市の首長と認定機関を結びつける機能を果たすのが目的である。
また、ホーチミン市の党委員会や政府機関と連携しながら、報道機関が社会的関心を持つトピックについての情報を迅速に提供できるようにする機能も持つ。
Hoang Vinh Bao情報通信副大臣は、同センターの設立により、市内の200の報道機関と約2,000人のジャーナリストを結びつける役割を果たすことを期待していると述べた。
筆者としては、都市運営の情報云々よりも、後者の政府と報道機関の連携が主目的であると考えている。
ここ数年ベトナム政府はtwitterなどソーシャルメディアの規制を進めている。(と言っても、地方ではtwitterを使えるケースが殆どで、その規制には地域差・プロバイダー差が存在する。)
ベトナムの政治自体は安定しているが、最近の一帯一路構想に対する世界的な中国への反発など、反共への意識が高まることには警戒を強めていると見られる。
先日発表された報道自由度では、ベトナムは180カ国中176位と世界最低水準である。中国の177位と並んでおり、かなり低く評価されている。(ちなみに日本は67位である。)
筆者の感覚では「政府・共産党批判以外なら比較的自由」という印象であるが、報道自由度に関しては政府批判の自由度が重要であるので、こうした結果になるのだろう。
東南アジアではデータローカライゼーションが問題となっているが、関連記事で述べたような自国の産業育成以外に、ベトナムでは報道規制の問題とも関連していると言われる。
今回のプレスセンター設立も、報道をより中央集権化を進める一貫である可能性が高く、状況を注視する必要がありそうだ。
参考文献
SAIGON Online, “First Press Center in Vietnam comes into operation”, 06 May 2019