初見では、輸送費が安いベトナムのような国でしか成立しないビジネスだと思った。
参考:ベトジョー「ビングループ、国内初のバーチャル・スーパーマーケットを導入」2019年5月24日
先日、ベトナムの大手不動産コングロマリットVinGroupが手がける小売ブランドVinMartは、 「VinMart 4.0」の運営を開始した。
これは「100以上の商品画像とQRコードが描かれた大型の紙」をオフィスビルや学校、バスターミナルなどの人口集中地域に貼り、ユーザーはアプリを介してQRコードで商品を選択して決済すると、指定した住所に2~4時間以内に商品が配達されるというものだ。
(冒頭写真はVinMart4.0のイメージ画像。引用元はAdvertising Vietnam。)
当面はハノイやホーチミンなど20箇所で展開し、その後全国展開する予定である。
VinMartが扱う商品はいわゆるスーパーマーケットやコンビニで手に入るようなものなので、正直オフィスビルの中に貼ってあったとしても、2~4時間後に届くというタイムラグで価値が低いように思える。日本で増えつつある「ミニコンビニ」のようなスタイルの方がすぐに手に入るので良いだろう。
しかし、バーチャルマーケットを「一種の広告」として考え、より「高単価の商品を扱う」のであれば、かなり可能性があると思える。そうすれば以下のような効果が生じると思われる。
- 衝動買い:新発売の商品広告を駅などで出し、それをその場で買える仕組みがあれば、欲しいと思った時に買える。
- 広告効果の向上:広告の前で立ち止まる人がいれば、広告が目に入る人も増える。この場合は別に2~4時間で発送する必要も無い。
- 広告効果の正確な測定:QRコード自体で広告を識別できるようにしておけば、広告効果の正確な測定が可能になり、広告を出す側にとって大きなメリットになる。
日本の駅広告などで直接QRコード販売を行って良いかといった規約面は知らない。もしかしたら街中の広告で直接買い物ができるようにしたら何らかの法律に引っ掛かるかもしれない。
規約や法律の問題をクリアできれば、このビジネス手法にはかなり可能性があると思われる。これは駅広告会社などにとっても機会であろう。
仮に筆者が広告の掲載箇所を売っている立場だとすれば、QRコード販売のプラットフォームを展開するだろう。広告からのQRコード販売ができるようなオプションを付け、その手数料を得たり、それぞれの場所の広告効果の情報を集めて営業に役立てるのだ。